第21話
時間は夜の9時を回ったところだった。
「青空眠れるか?」
「うん、多分、眠れる」
「華怜、静かにしておけよ」
「はーい、動画でも見ているよ、一緒に観よ?お兄ちゃん」
「ああ、ベッドから降りて来い」
「うん」そう言って、ベッドから降りて湊の隣に座る。華怜も蛍光ラインの入ったピンク色のパジャマに着替えていた。青空とおそろいのものだった。
「あー、私も観たいよ」
「だめだー、青空は寝ていなさい」
「じゃあ、湊こっちに来て」
「珍しいな、青空が甘えるなんて」
「お兄ちゃん、お姉ちゃんの横にいなよ」
「ああ」湊はベッドの上に移り、青空の横で髪の毛をなでてあげる。
「今日は、湊がかっこよく見える日だよ」
「そっか、ありがとうな」
「今日のノートどうしようか?」
「土日でいいだろう、きちんととってあるからな」
「うん、ありがとう、ねえ、私たち4人、ずっと一緒だよね?」
「そうだな、多分、あと100年は」
「そっかぁ、よかったぁ」
「変な心配するな、病人なんだから」
「ただの風邪だよ」
「まあな、でも早く寝よう、明日は予備校もあるから長いぞ」
「うん、だいぶ眠くなってきたよ」
「部屋の電気落とすから、目を閉じておきな」そう言ってリモコンで電気を消す。
「うん、ありがとう、おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」湊は右手で青空の左手をそっと握ってあげた。
「お姉ちゃん寝ちゃったかな?」湊の耳元で華怜がささやく。
「ああ、多分寝たと思う」
「私も風邪ひきたいな」
「何を言っているんだ」
「だって、お兄ちゃんめっちゃ優しくしてくれるし」
「そうか?いつもこんな感じだぞ?」
「ううん、違うよ、今日はほんとにかっこいいよ」




