第20話
「青空ちゃんも、起きて」お母さんが青空の体を揺さぶる。汗でびっしょりだ。
「ん、お母さん?」青空は冨永家のお母さんのこともお母さんと呼んでいた。
「大根のおろし汁を作ってきたから、みんなで食べてね」
3人分のおろし汁とおかゆを持ってきてくれた。誰が風邪をひいても、3人でおかゆを食べるのがいつものことだった。
「もう、だいぶ熱は下がっているみたいね、明日の朝何もなければ学校行けるでしょ」
「うん、お母さん、ありがとう」言いながらおかゆを食べる。
「お兄ちゃんが頑張ったんだよ、今日は」
「そうなんだ、湊、華怜に言われるんならちゃんとしたのね」
「何も、してないよ、ちょっとだけ」
「まだ雨もすごいし、良かったら泊まって行きなさい、お母さんには私から伝えておくから」
「うん、ありがとう、泊まっていきます」
「わーい、お姉ちゃん、お泊りだ!」
「じゃあ、ゆっくりしていってね、お風呂もシャワーだけなら大丈夫だと思うから入っておきなさい」そう言ってお母さんは下へ降りて行った。
「どうだ?華怜、大丈夫そうか?」
「うん、だいぶ楽になった感じ」
「シャワー浴びる?」
「うん、べとべとで気持ち悪くって」
「私も一緒に入るよ、お風呂で転んでも危ないから」
「華怜、ありがとう、一緒に入ろうか」
そう言って、二人はお風呂へ向かった。
二人がいない間に湊は食事の片づけをしたり、ベッドを二人に明け渡すつもりで自分の寝るスペースを作ったりしていた。
二人はさすがに20分くらいでお風呂から上がってきた。
「華怜はうつってもいけないから部屋で寝るか?」
「え?いいよ、私もここで寝る、大丈夫だから」
「ああ、まあ、こういうのはいつものことだからな」
「青空、体温測ってみよう」今度は36度丁度だった。
「うん、大丈夫かな」
「海汰ちゃんにはもう連絡しているからね、だいたい、いつも海汰ちゃんを待って夜更かししているのがいけないんだよ、お姉ちゃん」
「んー、まあ、それもあるのかもしれないけど」
「ベッドは青空と華怜で使っていいからな、俺はここで寝る」フローリングの上に敷いた毛布とクッションを指さした。