第19話
湊が部屋に着くと、青空は気分が悪そうに、ベッドで横になっていた。
華怜が準備してくれた水が既に置いてある。
「青空、なにか食べてから飲まないとだめだぞ」
「何も食べたくないよ」
「うーん、抹茶のチョコ好きだろ?持ってくるよ」
「チョコなら食べられるかな?」
「華怜、取って来てくれるか?」
「うん」
華怜がリビングまで行ってチョコレートを取って来てくれた。
「はい、お姉ちゃん、食べて」
「あ、華怜、ありがとう」起き上がると少し苦しそうに食べ始める。
「食べられたか、良かった、じゃあ、お薬飲もう」
「うん」解熱剤2カプセルを水で飲み込む。
「あとはゆっくり寝ていな、おばさんには俺からLINEしておくから」
「うん、なんか、ありがとう」
「汗出したほうがいいから?多分、きちんと毛布かぶっていな」
「うん、なんか湊、急にたのもしくなったような」
「そうか?いつもと変わらないよ、青空」
「ちょっと惚れ直しちゃったかも?」
「ばか、そんなこと言ってないで寝ていなよ」
「うん、少し寝るね、おやすみ、湊、華怜もありがとうね」
「どういたしまして、お姉ちゃん」
「華怜は部屋に戻っていろ、騒がしくしてもいけないだろ」
「何もしゃべらないよ、ここにいていいでしょ?お姉ちゃんも心配だし」
「ああ、じゃあ何もしゃべるなよ」
「はーい」
ベッドに青空が寝て、その傍らに湊、さらに湊の隣に華怜がいた。
青空が寝ているのを静かに見守っているうちに、湊と華怜も、うとうとと寝てしまっていた。
夜8時過ぎにお母さんが帰ってくる。すでに、熱のことはLINEで伝えていた。
「3人で寝ちゃっているのか、たしか、小学校くらいの時にもこんなことあったかなあ」そう言ってお母さんはそのまま出て行った。
少しすると、お母さんが3人分の大根のおろし汁を作って持ってきてくれた。
「起きて、みんな」そう言って部屋の電気を点ける。
「あ、俺寝ていた?」
「うーん、朝?」華怜も寝ぼけていた。