第18話
午後の授業が終わると3人で下駄箱に集合して真っすぐ家に向かった。
「お姉ちゃん大丈夫?」言いながら背中をさする。
「あ、うん、大丈夫だよ華怜」
「保健室で休んでいればよかったのに」
「うん、そうなんだけど、やっぱり授業は聞いておきたいから」
「青空は真面目だよな、ほんと、何もできなくて、なんかごめんな」
「ううん、ずっと湊が見ていてくれたから、嬉しかったよ」
「お兄ちゃん、優しいねえ」
「華怜、からかうんじゃない」
「はーい」
「とにかく俺の部屋に行こう」
雨の中3人の足取りは少し重かったが、寄り道はしないで冨永家に向かった。
部屋に着くと、華怜がタオルを持ってきてくれた。青空がもらったタオルで体を拭く。湊がおでこを触ると熱い。
「熱あるんじゃないか?」
「かなあ?」
「華怜、体温計持ってきて」
「うん」華怜の部屋まで戻って体温計を取りに行く。
青空の体温を測ると38度だった。
「ちょっと高いね」
「だね、湊の部屋にパジャマ置いといて良かった」
青空は蛍光ラインの入った青いパジャマに着替えた。
「解熱剤、あったかなあ」
「うーん、たしか切らしていたような?」
「よし、俺が買ってくる、華怜は青空を見ていて」
「はい、お兄ちゃん、お姉ちゃんは任せて」
湊は傘もささずにドラッグストア目指して走る。5分も走ればドラッグストアに着くが、それが遠く感じられる。
ドラッグストアに着くと、真っ先に販売員の女性に解熱剤でいいのありますかと尋ねる。
「それなら、これかな?」とおすすめの薬を出された。
「はい、これで、お願いします」
「様子を見て、お医者さんにも行ってくださいね」
「はい」そう言ってお金を渡し、すぐにドラッグストアから自分の部屋に向けて走りだす。