第17話
7月9日の木曜日は傘をささないといけないくらいには、雨が降っていた。
3人は傘をさしながら、高校まで歩く。
傘をさしても、華怜の右手は湊の左手に絡みついていた。
「そうそう、昨日の夜、海汰兄ちゃんには言っておいたから、日曜日は華怜と海汰兄ちゃん二人で遊びに行きなよ」
「はーい、了解です、お兄ちゃんとお姉ちゃんは、二人きりでお兄ちゃんの部屋で、色んなことしようと思っているんでしょ?」
「華怜がいない日曜日は珍しいからねえ、湊といちゃいちゃするかなあ」
「あー、お姉ちゃんずるい、やっぱり4人で遊ぼうよ」
「だーめ、たまにはおにいに甘えてきなさい」
「んー、まあそうかぁ」
いつものように、華怜が教室に入るのを見送ってから湊と青空は教室へ向かった。
雨の校舎は少し憂鬱だ。授業をしている先生の声も心なしかこもっているように聞こえる。青空は珍しくぼーっと窓の外を見ていた。視界には湊の顔も入る。綺麗な横顔だなと思う。少し中性的な感じもある湊の顔。湊も視線に気づいたようだ、視線が絡まる。
・・・日曜日、二人っきりかあ、二人っきりって何か月ぶりかな?あ、でも私生理終わってないよね、多分。考えながら青空は赤い顔をする。
その日の午前中青空はほとんど集中できなかった。帰ってから湊のノートを写してもらおうと、割り切っていた。
午前中の授業が終わると、また3人で食堂に合流した。
「湊、今日のノート写させて、夜」
「ああ、なんか珍しくぼーっとしていたな」
「うん、なんかね」
「今日はどこか寄って行く?真っすぐ帰る?」
「今日は真っすぐ帰りたいな、いい?華怜」
「はーい、お姉ちゃん」
「大丈夫か?青空」
「うーん、多分あれだから」
「ああ、そっか」
食事もあまり食べてたくないのか、残している。残ったお弁当は湊が食べてあげた。
午後の授業も青空はなかなか集中できないようで苦しんでいた。湊は何もできなくて歯がゆかったが、授業のノートはきちんと取りながら、なるべく青空の顔を見てあげることにした。