第16話
「なんだ?やきもちか?」
「うーん」
「とにかくもう遅いから寝るぞ」
「ん、お兄ちゃん」そう言って目を閉じてくちびるを湊のほうに突き出す。
「あ、ああ」優しくキスをしてあげる。
「おやすみ、お兄ちゃん」湊のベッドで二人は絡まり合って眠る態勢になる。
目覚ましの音
ん、もう朝か、湊はスマホの目覚ましを止め体半分起こす。
隣を見ると華怜が湊のTシャツを握ったまま寝ている。
「華怜、朝だぞ」
「ん?あと五分―」
「だめだ、それは遅刻するパターン」
「ん、お兄ちゃん、ちゅうして」
「ああ、」華怜を起こしてキスをする。
「おはよう、お兄ちゃん」
華怜はそのままピンクのパジャマを脱ぎだす。細身な華怜だが、女性らしいふくらみもある体のラインだ。
「ここで脱いでも制服は華怜の部屋だろー?」
「んー、好きな人に見られると女の子はきれいになるんだよ」
「それは光栄だが」
二人で話していると、制服姿の青空が部屋に入ってきた。
「こらこらー華怜、なに裸になっているの?」
「裸じゃないよ?上だけしか脱いでないし」
「それでも、だめ」
「えー、かな?でも私だよ?」
「んーまあ、華怜だからねえ」
「とにかく制服着てきな、華怜」
「はーい、お兄ちゃん」
3人で1階に降りるともう食事の準備ができていた。湊たちの両親はいつものように仕事でもういない。
食パンにサラダにハムエッグ、オレンジジュースといったメニューを少しだけ時間かけてゆっくり食べる。食べ終わった皿を洗うのは昔から華怜の仕事と決まっていた。
お弁当も3人分作られていたので、それぞれがバッグに詰め込み、準備が完了した。




