第132話 終話
湊と青空は冨永家に着いた。夕方の5時になっていた。
「もう、遅いよ」華怜が玄関で待っていた。
華怜は、カーキ色のシャツにショートパンツだった。
「ごめん、ごめん、でも、ほらこれ」そういって猫のぬいぐるみを渡す。
「賄賂ではごまかされないんだからね」そう言いつつもぬいぐるみはかなり気に入ったようだ。
家の中を見るが、お父さんたちはまだ帰ってきていないようだ。3人で湊の部屋に集まる。
「さっきの話しようか、青空」
「うん、いいよ、湊」
「え?何?なんだか難しい顔をしているよ」
「悪い話じゃないんだ、華怜」
「どんな話?」
「俺たち3人で、結婚しようっていう話」
「え、私とお兄ちゃんとお姉ちゃんで結婚するの?」
「ああ、そうだ」
「そっかあ、お兄ちゃんのお嫁さんになるのか、私」
「ああ、そうだ、華怜が嫌じゃなかったら」
「まさか、嫌だなんて、なんか、さ・・・」華怜の目から涙があふれてきた。
「華怜?」
「お兄ちゃんのお嫁さんになれないって思っていた、そんなこと不可能だって、だって、そうでしょ?でもさ、でもさ・・・」声にならない。
「私も一緒にだからね、華怜」
「うん、お姉ちゃん」青空に抱き着く。
「これからも、よろしくね、華怜」華怜の髪の毛をなでる。
「うん、お姉ちゃん、ありがとう」それだけ言うのが精いっぱいだった。
「2人のことは俺が絶対に守るから、何があっても、2人は幸せにするから、だから、多分、神様も許してくれるよ」
「そっか、お兄ちゃんが言うなら、間違いないね」
「そうだね、湊が言うならね」
『愛している』
完結いたしました。
最後までお読み頂きありがとうございます。
私にとっては色々試行錯誤の続く作品でした。
手探りの状態が続きますが、まだ前に進みます。
今後ともよろしくお願いいたします。
神名 信