第128話
「責任か、華怜が幸せって思える人生にするまでは俺の責任でどうにかするぞ」
「そんなの、簡単だよ、お兄ちゃんのお嫁さんにしてくれればいいんだよ」
「お嫁さんかあ、あ、俺着替えなきゃ、この話はまたあとで」
「私は今日お留守番だからなあ」
「ちょっと着替えるぞ、セクハラとか言うなよ」
「どうぞ、どうぞ、じーっと見ているよ」
湊は紺のロゴ入りTシャツとジーンズに着替える。細身の体には筋肉が程よくついている。
「わあ、なんかお兄ちゃんの体久しぶりに見た気がするよ、いい体しているねえ」
「そうか?なにも鍛えているわけじゃないけどな」
「いやいや、お兄ちゃんの体は美味しそうだよ」
「なんか恥ずかしいぞ」
「かわいいやつめ」
「多分、そろそろ・・・」
言いかけたところで青空が上がってきた。青空は紺のプリントTシャツとひざ丈のスカートだった、偶然湊とお揃いのシャツになった。
「あ、お姉ちゃん、お兄ちゃんとお揃いだよ」
「あ、ほんとだ、湊、合してくれたの?」
「いや、多分ただの偶然だ」
「まあ、それはいいとして、もうご飯食べないと、時間が」
「ああ、食べに行こう」
1階に降りると食事が用意されていた。今日は鳥五目ご飯と焼き鮭だった。みんなで美味しく頂いた。
「後片付けは任せて、2人はもう行きなよ」
「あ、うん、華怜任せた」
「華怜ありがとうね、任せたよ」
「はーい、行ってらっしゃい」
『行ってきます』
2人は冨永家を後にして、バス停へ急いだ。曇り空だが、雨はどうにか持ちそうだ。
青空は少し前髪を気にしているようだ。
「何をしているんだ?」
「だってさ、2人でお出かけとか、久しぶりじゃない」
「ああ、なんかそれを言われると俺が悪い気がしてくるけど」
「ううん、そんなことはないよ」
「模擬試験じゃなくって、ちゃんとした所連れて行かないとだな」