第116話
時計を見ると午後1時30分だった。2時まであと30分ある。
華怜は湊に寄りかかってボーっとしていた。湊は寄りかかられているので動けずスマホをいじる。青空は湊のタブレットを借りて動画を観ているようだ。
「華怜、そろそろ時間だ、定位置に動け」
「あ、はーい」そう言ってベッドへ移動する。
青空もテーブルのいつもの位置に着く。湊と向かい合う配置だ。
それぞれ、勉強を開始する。湊は今日英語をやり、明日日本史をやることにした。日本史はかなり勉強が進んでおり、高得点が狙えるが、英語はまだ8割くらいの進み具合だった。
英単語についても、覚えなければならないものはカードに集約している。
新たなカードを作ることはせずに、今まで作ったカードを見返す。英語だけでカードは100枚を超えている。
丁寧にカードを見返し、たまにノートに書いて記憶を定着させていく。
リスニング対策で2時からは英会話CDも流している。
そのまま3時間みんなノンストップで勉強をした。
5時になると、ちょっと休憩しようと湊がキッチンへ行って、お菓子とアイスコーヒーを持ってきてくれた。
「どうぞ、お姫様たち」
「ありがとう、湊」
「お兄ちゃん、ありがとうね」
「いや、多分このお菓子も柳瀬家からの支給物資だから」
「そっか、お姉ちゃんありがとう」
「ううん、毎日お世話になっちゃってるからね」
「色々感謝だな」
「うん、そうだね、お兄ちゃん」
「源氏パイかあ、なんかこれ食べると止まらなくなるんだよな」
「うんうん、美味しいよね、これ」
「私もこれ好きだよ、湊」
「たしか食べ過ぎるとだめって聞いたことある」
「そうなんだ?なんで?お兄ちゃん」
「なんか、元気になりすぎちゃうらしいよ?性的に」
「え?そうなの?お兄ちゃんには必要のないお菓子だわ」
「そうか?」
「だっていつも元気だもん」
「こらこら、なにを言っているんだ」
「ねえ、お姉ちゃん」




