第111話
「ありがとう、華怜」
「ねえ、今日は眠りたくないよ、ずっとお話ししていたい」
「ああ、華怜が寝るまで起きていてあげるよ」
「お兄ちゃん、お姉ちゃんにしているみたいに触って欲しいよ」
「華怜にはできないよ、華怜はそうじゃないんだ」
「お姉ちゃんのほうが好きだから?」
「いや、そういうわけじゃないんだ」
「どういうわけなの?」
「なんて言えばいいのかな?俺は華怜の体を見てもえっちな気分にはなるけど、でも、俺の欲望を華怜に対して向けてはいけないって思っているんだ」
「私がいいって、言えばいいんじゃないの?」
「どうかな?今できるのは抱きしめることくらいだよ」そう言って優しく抱きしめてあげる。
「あ、そんな優しくされたら、私、何も言えなくなっちゃうよ」
「俺は世界の誰よりも華怜を大切だと思っている、俺よりも青空よりも、だから華怜は幸せになってもらいたいんだ。もし、俺以外の誰かを好きになれないのなら、俺がいつまでも一緒にいてあげるよ」
「ほんとに?嬉しいよ、お兄ちゃん、それなら、私は一生お兄ちゃんしか愛さないよ、そう誓う」
「誓わなくていいぞ、海汰兄ちゃんみたいに素敵な人を好きになってくれたら、それはそれで俺は嬉しいから」
「私、だめなんだ、海汰ちゃんはすごい人だって分かっている、それでもさ、違うんだ、お兄ちゃんじゃなきゃだめなんだ」
「今はなにかの結論を出さなくていいと思う、俺たちが生きてきた年数はまだまだ短くて120年の人生のほんの、ほんの一部でしかなくて、今究極だって思うことだって、何年かしたらそれは違うって思うこともあるだろうし」
「理屈っぽいなあ、お兄ちゃんは、今の私の気持ちは冨永湊のことを永遠に愛するっていうことしかないんだよ」
「そうか、まあ、そうなのかもしれないな」
「ね、キスして」
「ああ」華怜のくちびるにキスをする。
「もう一回」
「ああ」
「もう一度」
「ああ」
何回もキスをする2人。




