第110話
「青空、送るよ、もう時間だし」
「あ、うんありがとう、湊」
「二人ともいってらっしゃい」
柳瀬家へ移動する15秒ほどの間にも豪雨に濡れる。
「湊、今日はすぐに帰っていいから」
「ああ、そうだな、これじゃ、帰るしかないか」
「うん、おやすみなさい」
「おやすみ、青空」キスをして別れる。
部屋に戻ると華怜がベッドの上に座っていた。
「おかえりお兄ちゃん」
「ああ、ただいま」
「今日は早かったね」
「この雨だからな」
「それだったら、毎日雨でいいよ」
「雷も毎日?」
「え、それは嫌だよう」
「まあ、それは困るよな」
「うん、ねえこっちに来て」
「ああ、そう言えば明日は休みか」
「うん、そうだよ、明日、明後日は何もないお休みだよ」
「そっかあ、ちょっと、というかかなり嬉しいな」
「うん、ずっとお兄ちゃんと一緒にいられるよ」
「まあ、そうだな」
「ねえ、ぎゅーってして」
「ああ」華怜を抱きしめてあげる。
「どこにもいかないでね?」
「行かないだろ、いつも華怜のところに戻って来ている」
「ねえ、大人になったら、どこか遠くに2人で住もうよ」
「2人でかあ、どうかな」
「お姉ちゃんが好きだから?」
「そうだな、青空は好きだ」
「私は?」
「もちろん、好きだぞ」
「良かった、私は、お兄ちゃんだけが好きだよ」




