第109話
バス停までの道にもいたるところに水溜まりが出来ていた。
なるべく、水たまりを避けてバス停へ向かう。
バス停に着くと、バスは発車時刻の調整のため停車していた。
3人で乗り込む。
しばらくして、バスは発車した。
揺れる車内で傘を杖代わりに安定を保つ。
青空のほうを見ると、窓の外を見ながら少しボーっとしているようだった。顔立ちのきれいな青空は何をしていても絵になる。
青空の顔をじっと見つめていると、ウインクされた。少し照れる。
15分ほど乗っていると、最寄りのバス停に着く。後ろ側の降車口から降りる。都バスは乗るときに運賃を払えばどこまで乗っても同じ料金だ、池袋から滝野川だと距離が短いので少し損をしているようにも感じられる。
バスを降りると滝のような雨になっていた。
バス停から少し歩けば冨永家だが、その距離がだいぶ遠く感じる。
もう、傘をさしていても、守れるのは頭付近だけで、体はびしょ濡れになる。
ようやく、冨永家に着くと、お母さんがバスタオルを持って出迎えてくれた。
今日はレディーファーストにして、青空と華怜からお風呂に入ってもらうことにした。
湊はバスタオルで頭を拭いて、着ている服を脱ぎ、いつものようにTシャツと短パンに着替える。
1時間コースだろうということで、その間に今日の予備校の授業範囲をカードにまとめていく。
1枚のカードにまとめ終わったところで、2人がお風呂から出てきた。
交代にシャワーを浴びに1階へ降りる。暖かいシャワーが心地よい。
お風呂から出て部屋に戻ると、夜食が準備されていた。
唐揚げとりんごという組み合わせだった。なんか、こういう組み合わせはどうなんだろうと思いつつ、唐揚げは美味しかった。
みんなでウーロン茶を飲みながらまた、勉強を再開しようということになった。
模試の範囲をやり始める。英語の範囲は広いため、なかなか終わらない。
青空は12時に帰るということなので1時間弱しか勉強時間はない。
パジャマ姿の青空と華怜、どちらも美少女だが、青空はどちらかというと美人に寄っている美少女、華怜は幼女に寄っている美少女だ。
ただ、どちらもカテゴリーとしては美少女なのだろう。
勉強しながらも、ついつい青空の顔が気になって見てしまう。青空は、分かっているよ、愛しているんでしょう?というようなサインをしてくれる。
なにか、青空はお姉さんのような気もしてくる。
時間はあっという間に過ぎ、12時になった。




