第106話
下駄箱のところで湊と青空が待っていると、すぐに華怜が来た。
どうやら今回も1位だったらしい。
今日も予備校があるので、一度家に戻ってから行こうということになった。
雨の中3人で傘をさして歩く。
もう、気分は夏休みだ。ただ、3人とも来週からは夏期講習で金曜日までみっちりと予備校があるが。
歩いているうちに雨が強く振り出した。少し、雷鳴が聞こえる。華怜がそれにひどく怯える。
少し早足で家に向かう3人。
家に着くころにはだいぶ濡れてしまった。湊がバスタオルを人数分用意してくれて、みんなで頭や体を拭く。
青空と華怜は制服のブラウスから下着が透けて見える。湊が目のやり場に困っていると、青空と華怜は堂々と湊の前で制服を脱いで着替え始める。
女子高生2人の生着替えが見られるのはかなり幸せなのだろうかと思いながら湊も着替え始める。
湊はロゴ入りTシャツにダメージジーンズ、青空はロング丈のTシャツにショートパンツ、華怜は黒のTシャツにデニムスカートに着替えた。
3人の制服はとりあえず、湊の部屋に干しておいた。
ひと段落したところで、テーブルでお弁当を食べる。
「ひどい雨だったな」
「本当だよ、湊、神様なんでしょ、どうにかしてよ」
「おいおい、青空まで何を言っている」
「そうだよ、お兄ちゃんがどうにかしないと」
「いや、どう考えても無理、てるてる坊主作るくらいしかできないから」
「まあ、タオル持ってきてくれたからいいけどさ、湊」
「はい、お嬢様、俺にできることはそれくらいです」
「今日は予備校までバスで行こうか?」
「ああ、そうだな、この雨じゃ池袋まで歩くのはきつい」
「雷大丈夫かな?」
「雷かあ、華怜苦手だよな」
「うん、お兄ちゃんなんとかしてよ」
「なんとかはできないけど、ひどくならないといいな」
話しているうちに雷が近くに落ちたようだ、瞬間的に停電になり、雷鳴が響き渡る。
華怜が湊の腕をつかまえて、小さくなる。
「私、雷は絶対だめなんだ」目に涙が溜まっている。
「華怜、大丈夫だから」そう言って華怜の髪の毛をやさしくなでつけてあげる。




