第105話
湊は青空のくちびるに自分のくちびるを重ねる。青空のほうから積極的に舌を動かしてくる。湊は青空の体を抱きしめてあげる。
朝なので、あまり時間はない。すぐに身だしなみを整えて1階に降りる。既に華怜が制服姿で食卓についていた。
今日の朝食はごはんと肉じゃが、納豆とお味噌汁だった。なんだか豪華だなと思いながら食べる。
3人はいつもと同じ時間に家を出る。
今日はテストの返却を受けるだけで授業はない。学校も来週の月曜日通知表をもらいに一度登校すれば夏休みになる。
気のせいか足取りも軽い。
「青空、試験の順位、なにか賭けるか?」
「んーそういうの湊に勝ったことないからパス」
「そう言わずに」
「お兄ちゃん、私と勝負する?」
「バカ、華怜とだと、最高の結果で引き分けにしかならんだろ」
「そうかな?」
「華怜は中学から今まで1位以外の順位取ったことあるのか?」
「まあ、そう言われると、ないけど」
「はあ、華怜は本当にすごいよ」
「そうなのかな?私にとってはお兄ちゃんが神様なのかなって思える時があるよ」
「俺が?考えすぎだ、空も飛べないし、予知能力もない、普通の高校生だ」
「そうかなあ、世界ってさ、多分、全然想像もつかないような実像があって、そういう視点から見たら、お兄ちゃんが多分、その他大勢とは全く別次元の存在っていう気がする」
「華怜の想像力はすごいが、俺もその他大勢だよ、間違いない」
「どんなことがあっても、お兄ちゃんは私にとっては特別だよ」
「ああ、それはありがたいのかもな」
「2人とも、朝から難しい話しているから、もう学校に着いたよ」
「ああ、それじゃ、また下駄箱の所でな、華怜」
「うん、また後でね」
華怜を見送って、湊と青空は自分たちのクラスに戻る。
担任の先生が入ってきて、11教科のテストの返却が始まる。名前を呼ばれた人から先生の所へ取りに行く。
テストが返却され、個人別のテスト成績表が配られる。
順位は湊が全体の8位、青空が12位だった。
担任がどうでもいいような話をして、登校日は終わった。




