第1話
「華怜、そろそろ起きないと遅刻するぞ、いつまで寝ているんだ」
隣で寝ている華怜を揺すり起こす。そもそも、こいつは何で俺のベッドで寝ているんだ?
「ん、お兄ちゃん、まだ眠いよう」
「もう、高校生なんだからしっかりしろよ、お前髪の毛長いんだし、セット時間かかるだろ」
「お兄ちゃんやって」
「何を甘えているんだ、海汰兄ちゃんにやってもらえばいいだろ」
「海汰ちゃんは、もう大学行っているよう」
「なおさら、お前がしっかりしないと、海汰兄ちゃんに愛想つかされるぞ」
「そうなったら、お兄ちゃんに責任取ってもらうからいいもん」
「バカなこと言っているうちに目が覚めたんじゃないか?」
「んー、多分、ね、おはようのキスは?」
しょうがないなぁ。言って華怜のくちびるに軽くキスをする。
「目、覚めたよ、おにいちゃん」
冨永 湊と冨永 華怜は1歳違いの兄妹である。東京の北区滝野川の住宅街に住んでいて、文央高校という都立高校に通っている。
「湊、もう起きている?」何の遠慮もなしに湊の部屋にまで上がってくるショートカット女子。柳瀬 青空同じく文央高校の2年生で、湊とは同級生の幼馴染、華怜の先輩だ。
「青空、ご飯できていた?」
「うん、多分、もうテーブルに盛り付けてあったと思うよ、私の分も」
冨永家と柳瀬家は同じ時期に滝野川に家を購入し、偶然にも同じ年の子どももいて、かなり仲がいい。冨永家の長男湊と柳瀬家の長女青空、冨永家の長女華怜と柳瀬家の長男で大学1年生の海汰は両家公認のカップルだ。
青空のお母さんは看護師をしていて、時間が不規則なこともあって、食事は冨永家ですることが多い。華怜に対しても先輩というよりは、ほとんど実の姉だ。
「華怜、こっちきて、髪の毛やってあげるから」
「えーお兄ちゃんにやってもらおうと思ったのに」
「また遅刻するよ?」
「はーい、お姉ちゃん、早く来てくれないからお兄ちゃんにファーストキス奪われちゃったよ」
「はいはい、被害届でもだしておいてね」
題名が読みづらいかもしれませんが、日本語読みすると『ツーペア、フォーペア』でしょうか、よろしくお願い致します。