第4ビ 遠く異形の訪来を
【ストーリー】
「幌谷くん。今のうちに避難して下さい。戦場ですから、決して心を乱してはいけませんよ?」
度重なる鬼の襲撃を退け、僕は過去の自分と向かい合い、そして桃太郎であることを受け入れた。
だが僕は鬼のこと、そしてこの状況をまだ理解してはいなかった。
バイクが暗闇から逃れるように進む。僕は逃れようとしていることと、逃れられないこと。そしてこれから向かう、先のことを考える。
バイクのエンジン音が響く。僕らが進む道の先には丁度、下弦の月が輝き始めていた。
※注 幌谷がバイクを運転しているわけではありません。
【登場人物】
幌谷ビャクヤ(ホロヤ・ビャクヤ):主人公の大学2年生。
妄想、こだわり、無駄な知識の独白が多いのは精神的現実逃避。
中学二年の時、母との死別を切っ掛けに「桃太郎の転生者」として覚醒。精神崩壊し暴走しかけたが、その場に居合わせたミスミの祈りによって幸いにも中座、以後「受け入れたくない悲しみ」として能力とともに自らの心の奥に封印していた。
一連の鬼との戦闘を経て、仲間を救いたい思いから過去の「僕」を受け入れ、そして再覚醒。
曲線フェチ。
軒島ニコナ(ノキシマ・ニコナ):「狂喜の魔犬」の転生者、私立中学2年。
武術全般が得意で近距離戦担当。喜々として鬼を蹂躙するのは「狂喜の魔犬」の影響が色濃く出ているから。だがウズウズやミスミと違い命を奪う経験がなかったため、また自身の死を潜在的に経験したことから、戦闘に対する覚悟の足りなさを感じ始めている。
学校生活はそれなりにこなし、ひよりんと琴子という親友がいる。
お化けが苦手。
佐藤ウズシオ(本名不明):「冷酷の魔猿」の転生者、フリーター。
ダガーナイフ2刀の他、刃物全般(主に調理道具)を使う。近中距離戦、防御担当。覚醒前から命を奪うことになんの感情もわかない。感情の欠落が影響しているのか「冷酷の魔猿」との融合率が他の二人より高く、三面六臂の猿を自在に操ることができる。
元暗殺者で、壇之浦を討ち損じたのをきっかけに笠子組の保護下で活動する。
四次元懐の持ち主。
雫ミスミ(シズク・ミスミ):「静寂なる魔鳥」の転生者、幼馴染。
銃器全般(弾は豆)を使用する遠距離戦、支援担当。索敵能力がずば抜けているのは「静寂なる魔鳥」によるもの。また射撃の命中精度が大きく向上している。
対鬼組織に所属していることから、鬼との戦闘経験、情報等に一番精通している。組織人であるため独断で動くことは少ない(情報公開等)。
幌谷専門諜報員。
イチモンジ:「おじいさん」と名乗る世捨て人。
「対鬼刀・柴刈乃大鉈、またの名を『宝刀鬼殺し』」を主人公に与えた。
神出鬼没なうえに、なかなか言動がファンキー。
サクヤ:常に日傘をさす黒髪の女学生。
幌谷曰く「神のSラインを持つ完全なる曲者」。度々、幌谷達の戦いの場に現れる。
体重45kg前後、身長は160cm未満、靴のサイズは23cmジャスト。(※幌谷調べ)
壇之浦ヨウコウ(ダンノウラ・ヨウコウ):主人公の元父親。
暴力団関係者、つまりはヤクザ。ひょうひょうとした喋り方をするが話の運び方(交渉)は上手い。
主人公が未就学児の時に離婚。母親が亡くなってからは時折、金銭的援助を行っている。
笠子組若頭。
幌谷カナデ(ホロヤ・カナデ):主人公の姉。27才独身。
雑貨屋のオーナー兼店長。仕事だけでなく家事全般もできるが料理は苦手。唯一お稲荷さんを作るのは得意でオイナリッド製作者。主人公のことを「はーちゃん」と呼ぶ重度のブラコン。異常なほどの被害妄想&仮想マダムに対する敵対心は弟に対する愛。さすが同じ姉弟。
フルーツマニア。
澄河ユイ(スミカワ・ユイ):主人公の1年先輩で憧れの人。
オノマトペ研究会(という名の読書同好会)に所属。洋書の原書を好んで読む才女。
前髪がアホ毛になるのを気にし、いつもヘアピンをつけている。
【鬼】
半鬼:鬼化したての鬼。
鬼化の元凶である鬼門をつぶせば人間に戻れる可能性がある。
見た目は人と変わらないが自我を失い狂暴化。戦闘能力、耐久力も人間以上。
餓鬼:完鬼になり切れなかった劣化型。
鬼化に身体が追い付けずに変化を遂げたがために、人間より少し大きいぐらい。
完鬼になりきれなかったとはいえ半鬼よりは強い。そして数が多い。
完鬼:完全に鬼化した鬼。
鬼門をつぶしても人間に戻ることはない。
見た目は完全に童話上の鬼と同じ。人間レベルで倒すことは無理。
蛙水(カワズミズ):中鬼。
見た目はスーツに身を包んだ営業マン。口調は慇懃無礼。
鬼化するとインパラの角が生える。ボールペンで戦うが、触れずに相手にダメージを与える。
課長やマネージャ等、肩書がいくつかあるらしい。
兵跡(ヒョウゼキ):氷鬼の中鬼。
アーミー調ハーフコートに身を包む。元キックボクシング世界王者にして立ち技最強とまで言われた男。
鬼化すると水牛角が生える。氷を操り攻守に使う。
雨早川(アマハヤカワ):中鬼。
山羊の面をつける謎の女。ダンシング狂人。口数が多くヒステリック。
鬼化すると山羊の短い角が生える。カミソリのような紙吹雪を操る。
荒渡(アラワタリ):高鬼の中鬼。
「自分、底辺なんで」が口癖のパンクな出で立ちの男。
鬼化すると羊の巻き角が生える。一定区画を「見えない水」で水没させる。また体表を「見えない水」で覆い防御に使う。
【その他】
トンカツ屋の幸子さん:架空アニメ「がんばれ!ミシュール先生!!」に出てくる。
宝鏡カグヤ:W&Cと専属契約を結ぶアイドル。高校生らしい。
副部長:オノマトペ研究会の創設者。アンパンが好き。
部長:オノマトペ研究会の部長。そして師範レベルの書道家。
田村:笠子組の構成員。
対抗組織から幌谷姉弟の護衛を秘密裏に行っている。そして佐藤ウズシオの連絡担当。
見た目はまったくヤクザっぽくない。ハンチング帽がトレードマーク。
島:笠子組の構成員。
運転ばかりしているが壇之浦の片腕。けっこう厳つい。