第1幕 御伽噺は語りだし歯車は廻りだす
【ストーリー】
「なぁ、にぃちゃん。あんた桃太郎だろう。」
初夏の日差しが眩しい午後、軒島ニコナと名乗る中学生女子はそう告げて、回し蹴り&空中踵落としを僕に放った。その後も正体不明のフリーターやら、正体不明の電話ストーカーが現れる始末。僕の当たり前の日常はどこへ消えてしまったのか……
どこからか、カタンと可動式の歯車が落ち、新しい経路へと動力源を繋いだ音がしたような気がした。
そして歯車は僕の意思などは一切無視し、ゆっくりと廻り始めるのだった。
【登場人物】
幌谷:主人公の大学2年生。
物語の中心は彼の口から語られる。そのためかなりの妄想、こだわり、無駄な知識が展開されるわけだが、んま、二十歳前後の男の頭の中なんてそんなもん。
母子家庭で育ったが中学生の時に母と死別し、一時期は姉とともに親戚のお世話になっていた。大学へ進学とともに一人暮らしするも、学費と生活費を稼ぐためバイトは多め。友達は少なめ。
桃太郎の転生者であるが無自覚。戦闘能力皆無。
軒島ニコナ(ノキシマ・ニコナ):犬の転生者を名乗る私立中学2年。
武術全般が得意、というよりすでに師範クラス。シャードー組み手を頻繁に行っているのは周りに対等に戦う相手がいないから。主人公に寝技や関節技、投げ技を使うのはただ試したいから。
クールなタイプで積極的に友達などを作る方ではないが、ひよりんと琴子という親友がいる。
身長142センチのショートボブ。
佐藤ウズシオ(本名不明):猿と名乗ったフリーター。
壇之浦に紹介されたコミュ力0女子。その正体は壇之浦を討ち損じた暗殺者。
猫背・巨乳・眼鏡という3要素を搭載しているが誰得かは不明。そして本人にもプラスに働いていない。
鈴木と高橋という2匹の黒猫を飼っている。
雫ミスミ(シズク・ミスミ):雉と名乗る電話の女。
主人公が中学生の時に転校するまでは同級生だった。一応、幼馴染。
主人公に対するデータ収集力はストーカーレベル。普通に犯罪。
矢文が使える。
壇之浦:主人公の元父親。
暴力団関係者、つまりはヤクザ。ひょうひょうとした喋り方をするが話の運び方(交渉)は上手い。
主人公が未就学児の時に離婚。母親が亡くなってからは時折、金銭的援助を行っている。
笠子組若頭。
幌谷カナデ(ホロヤ・カナデ):主人公の姉。27才、独身。
主人公のことを「はーちゃん」と呼ぶ重度のブラコン。主人公が一人暮らしを始めると同時に隣に引っ越してきた。異常なほどの被害妄想&仮想マダムに対する敵対心は弟に対する愛。さすが同じ姉弟。
お稲荷さん以外は作れない。
澄河ユイ(スミカワ・ユイ):主人公の1年先輩で憧れの人。
オノマトペ研究会(という名の読書同好会)に所属。洋書の原書を好んで読む才女。