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悪魔達、敵に出会う (1)

厳粛に響き渡る鐘の音によって授業の終了と放課後が告げられた。

今まで静かだった校舎の中は生徒達のざわめきで一気に騒がしくなり、それを包み込むかのように放課後独特のゆったりとした午後の時が流れ始めた。


誰もが学校…正確に言うと「授業」という名の勉強が終わったという開放感で高揚する中、私は一人、行き場のない疲れと怒りでぐったりと机に突っ伏していた。



「今日も悪魔さん達に振り回されたの?」



頭上から降りかかってきた涼やかな声に顔を上げると、切れ長の目が印象的な整った顔が私を覗きこんでいた。

その顔を見た途端、お昼休みに悪魔達から受けた行き場のない疲れと怒りが涙となってどっと溢れ出てきた。



「もう、こんな毎日イヤ!助けてよ、ゆうちゃん!!」



生活に疲れた主婦のような言葉を吐いてから、再び机に突っ伏した私の頭を「よしよし」とゆうちゃんが撫でてくれた。

それに励まされるようにして、後から後から流れ出てくる涙と鼻水をすすりつつ、今日の昼休みに起きた出来事を話した。


悪魔達に振り回された後はこうしてゆうちゃんに話を聞いてもらうのが習慣となっているのだが、いつも話の道筋がぐちゃぐちゃで支離滅裂になってしまう。

それでもゆうちゃんは時々相槌を打ちながら静かに聞いてくれる。

そして不思議なことに私の支離滅裂な話をちゃんと理解してくれるのだった。

所謂、「聞き上手」というやつなのだろうけど、それにしてもすごい能力だと思う。



「毎度のことながら悪魔さん達は自由だねぇ」



一通り話すと、ゆうちゃんはそんな感想を漏らした。

温泉にでも入っているような、のほほんとした言い方だったので、思わず私は脱力してしまった。



「そんな言葉で片付けないでよ〜」


「あはは。ごめん、ごめん」



尚も、のほほんと笑うゆうちゃんにつられて、私の頬も緩んでしまった。


ゆうちゃんこと岡田優子は、無駄のないしなやかな体に、腰の辺りで切り揃えられた真っ直ぐな黒髪と、同じように黒く切れ長の目が印象的なシャープな顔立ちであるがゆえ、一見クールで人を寄せ付けないような一匹狼タイプの人に見えるけれど、実際は兎のように穏やかでのほほんとした誰からも愛される和みキャラだった。


そして、そんなのほほんキャラであるにも関わらず、ゆうちゃんは初めて会ったときから悪魔達の本性を見抜き、さらに彼らと互角にやりあえる希少な人物でもあった。



「それにしても、ゆうちゃんはよく悪魔達の本性を見抜いたよね」



ひとしきり話して泣き終わったところで、ゆうちゃんに初めて悪魔達を会わせた日のことを思い出しながら、そう呟いた。




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