第四章の登場人物と単語帳
*こちらは第四章のネタバレを含んだ紹介となっています。一読する時は注意してください。また、少しでも綴られた世界に目を通して頂く上で、補足となれば幸いです*
~登場人物~
【日本】
・桜峰 友香
【雨喜びの幻覚】を駆使し、紘和と純の協力の下、自身の存在を頼りに優紀を追う。陸との再会を果たすが、純によって意識を失わされその機会を不意にさせられる。その後、謎の声に呼び覚まされ、アンナを取り巻く恋愛を侮辱し、陸との問答の機会を奪われたことの復讐を背後から致命傷をギリギリ避けた刺突によって成し遂げる。
・幾瀧 純
イギリスの騒動の後、陸を追うという名目でロシアまで進行した。そして、ロシアの歪な軍の体勢をすべて知っていたような立ち振舞で紘和のレベルアップの場として襲撃させた。当初は大将首という表現をして、ひとりだけ殺す予定だったようだが、結果としては社会的に殺したのがひとりというだけで誰も純たち側から手をかけさせなかった。友香に不意打ちで刺されて重症を負った。
・天堂 紘和
最強にして日本の剣の強欲。純についていき、今度はロシアで【最果ての無剣】を使用する上で人死を出さずに戦うよう縛りを設けられる。当初はひとりだけ殺す予定だと言われていたが、結局、誰も殺さず、加えて一度殺したほうがいいと自分で判断したライザにまで手をかけずに戦い抜いた。
・九十九 陸
相変わらず友香たちから逃亡し、逃亡先で事件の片棒を担ぎながら接触してくる【環状の手負蛇】。コードネームはツァイゼル。ロシアに黒い粉を持ち込み、合成人の研究資料をその見返りとして入手している。
・菅原 優紀
陸の中に囚われながらも友香を【想造の観測】で保持する。
・古賀 泰平
外事第三課所属の警部。イギリスから帰国後、日本の剣の剣鬼にして憤怒の席に急遽据えられる。日本でアンナの生死を確かに知っているひとりでもある。
・古賀 リリー
イギリスにて泰平と梓を足止めするためだけに配置していた新人類で幻覚の使い手。ゆく宛もなかったところを泰平に救われ、そのまま養子となっていた。
・今野 梓
外事第三課所属の警部補。泰平の部下で女性にしては身長もあり型位はいい。一般男性ぐらいなら投げ飛ばせる。
・中之郷 智
日本の剣の剣王にして怠惰の名を持つ。イギリスの財産兼人質であるアリス奪還としてヘンリーが仕掛けた作戦で八角柱クラスが対応した作戦に一樹の代理として参加した。日本でアンナの生死を確かに知っているひとりでもある。
・萩尾 亮太
喫茶店ヒマツブシのオーナー。トラウマという恋愛シミュレーションゲームのシリーズをこよなく愛する純と紘和の大学時代の友人。何かと密談の場として店が使われる。
・花牟礼山 彩音
友香がいたアパートの大家。訪れたヒマツブシで亮太に話を聞いてもらい、何かをするために意を決したように見えるが……。
【ロシア】
・アンナ・フェイギン
【漆黒極彩の感錠】によってエカチェリーナに成り代わっていたロシアの愛にして最狂。さらに、不老不死、ひいては恋人であったライザを人体実験の被験体として失敗したことで、それをなかった、成功させるためにさらに優しさといった感情を捨てて、合成人のサンプルを集めるために偽りの感情で自身を無理やり動かし、悲願を果たしかけた張本人。社会的に死んだことにされるが、ジェフと手を組んで研究を続けるつもりでいるようだ。
・ライザ・ベリアフ
【漆黒極彩の感錠】によって培養基内でアンナに成り代わっていたロシアの右手ナンバー一でアンナの恋人。クマムシとトウキョウトガリネズミの合成人でどんな環境でも死なない身体に、どんなに負傷しても再生できるだけの食欲を付与した【環状の手負蛇】の血で進化し続ける不老不死として被検体にされた。結果として、自我が保てず身体が拒絶反応で崩壊を始めるが、ラクランの知見とエカチェリーナのアンナへの後押しによって延命させられていた。後に新人類による力の増幅に着目し、黒い粉を付与され目覚め、エカチェリーナを食して、生命活動を維持させることに成功させられた。その後も【漆黒極彩の感錠】によって罪悪感などが削られていたため進化による蘇生を繰り返していたが、喜びなどを駆使して、アンナの研究がジェフの手によって完成するのを待つ身となっった。
・エカチェリーナ・ボチャロフ
【漆黒極彩の感錠】によってライザに成り代わってアンナ復活を目論み、ライザ復活の際の人格の補強となった一研究員。アンナのことを密かに愛していたが、アンナの幸せを願うためにライザの復活に協力し、アンナの中に傷として生き続けるために人柱に志願した。
・リュドミーナ・チャフキン
プラナリアとの合成人。そして、ロシアの右手ナンバー二で諜報部の指揮権を持つ。意識を共有する複数にして個、個にして複数という独自のネットワークを確立した分裂し、自身のクローンを複製できる。クローンとはいえ、元が同じなだけで人であるという共通点以外は性別、背丈、性格とありとあらゆるものに違いが生じることもある。ただし、最初期の本体とその他という区別はできている。その本体は今回、終始アンナたちのそばにいた個体であり、複製体は紘和たちの逃亡先にいたドナートであったり、イギリス側の構成員に紛れたり、タチアナの部下としてヤーコフの名で、パーチャサブルピースの茅影として情報収集に勤しんでいる。これがキッカケで純たちと手を組む。時には純を楽しませるためと邪魔をするが最終的にはアンナの側に再びついた。
・ラーヴァル・ロージン
マンモスとの合成人。そして、ロシアの右手ナンバー三。日本を襲撃する際に合成人の指揮権を持って参戦していたが、左目を純によって負傷させられた。代わりに三人行ったロシアの右手の中では唯一の生き残りとして帰国していた。結局、一度たりとも純に敵うことはなかったが、その闘争心は次第に超えるべき壁として燃やしている。
・オーシプ・ブリュハノフ
ゴキブリとの合成人。そして、ロシアの右手ナンバー四。合成人の中では最年長の老人。実力だけを評価するならばロシアの右手のポジションをすでに手にしていてもおかしくはなかったのだが、誰かの喜ぶ顔が見たいという理由から昇進を全て蹴っていた。しかし、前回の日本襲撃で補欠もいなくなり渋々その席につく。誰かの喜ぶ顔が見たい、という行動欲求は善悪を問わず彼を突き動かしている。
・ニーナ・コロチナ
クラゲ(キロネックス)との合成人。そして、ロシアの右手ナンバー五。期待の新星だったが、紘和の前にあっけなく散る。
・タチアナ
フクロウとの合成人。諜報部に所属するリュドミーナの部下。純に気がなるのか、旅のお供になる。
【イギリス】
・ヘンリー・カンバーバッチ
八角柱にイギリスの希望として所属。アリスを取り戻すという名目でロシアが許す範囲の敷地内で奪還のため八角柱を使って純たちに戦いを挑むものの逃げられる。
・アリス・レイノルズ
最初の新人類。成りすましを最大限に使いこなす。ヘンリーが企んだイギリスの革命の一件を知り、ジェフと再開するために純たちについていく。エカチェリーナがアンナであることを採取した血液から成りすます過程で証明した。その後は可動したライザの人を喰うという残酷な現場を目の前に戦意を喪失してしまう。
【オーストラリア】
・ラクラン・ロビンソン
八角柱にオーストラリアの知恵として所属。三大兵器のひとつ、ラクランズをヘンリーに貸す。また、人の構成を記憶と情報に絡めて何かしらのアプローチを掛けている節があり、アンナの研究の躍進に一役買っている。
【ブラジル】
・イザベラ・シルヴァ
八角柱にブラジルの勇気として所属。ステゴロ最強の異名を持つ。慰安旅行中にも関わらず、近かったという理由でヘンリーに手を貸す。
~単語帳~
・第九一二軍事研究所
ロシアの東部軍管区にあるとされる通称を蓋の開いたパンドラ。合成人を研究、収容している軍施設。
・合成人
アンナが不老不死に近い存在を作ろうとした副産物として開発された陸の血液を他の動物と混ぜて人間に投与し、動物の力を反映させることのできる人間。黒い粉とエカチェリーナという人柱によってその実験はより不老不死に近いもの、ライザを生み出すことには成功したが、失敗作であることには変わりなかった。
【相乗兵器:最果ての無剣】
無色透明な刃物。無剣自体の形状を知る者はおらず、所有者の第一印象が反映されているとされる。能力は所有者のみ使用可能とするありとあらゆる刃物の召喚。ただし、召喚されたモノは重複を許されない。
・無剣無刀流
【最果ての無剣】に縁のある豪傑の力を自身に憑依させる。ただし、身体という肉体的に縛られていない者を前提とし、憑依させたものを支配できるだけの、歴代で最強の使い手であることが前提とされる。
・アジィアアールの魔剣
刀身から溢れ出る冷気は任意の分子の動きを止めることが出来る。伝承によれば、変わらない日常、つまり想い出を色褪せず固定することに取り憑かれた魔女が生み出した魔剣とされている。だが、実際に作用できるのは三次元に留まっている。
・焔雷
焔雷。爆音に背後を振り返った時に、一本の大樹が縦に裂け燃えていた。この刀の性能を表す一節であり、雷の特性と副作用を示す。能力としては雷と炎を操る。負の感情を抱えていればその焔は対象を灰にするまで消えることはないと伝えられている。また、これは天のお告げであったにも関わらず、叶えることができなかった男の悲痛な叫び声とも言われている
・莞爾
切ってから所有者の任意の時間で切られたという実感を与える。柴田勝家が所持していたとされる刀で斬られたものは、あまりの斬れ味なので斬られたことに気づかず、斬られてなお莞爾として笑い続け、数十歩も歩いたところでまっぷたつに分かれ倒れたという逸話がある。
・イコーウォマニミコニェ
物理的に切れないものを斬る霊剣。あらゆるモノを捨て、常識にも囚われない男が生み出したとされている。後に世界が新しく生まれた時に抑止力として存在した十三の王の一体に対抗するために活躍するまさに常軌を逸した一振りとなった。
【対象兵器:漆黒極彩の感錠】
鍵の存在しない錠前。選ばれた者が夢から醒めると首にぶら下がっている。八つの感情をベースにプルチックの感情の輪に則って十六の異能を任意で発現させることができる。
・喜び
傷の再生、奇跡の誘発などあらゆる幸いをもたらされる。
・楽観
収束する点への到着時間を伸ばすといった不安を引き伸ばせる。
・警戒
三分先の未来を任意のフレームで覗くことの出来る、先を読みができる。
・積極
無条件で攻撃などの間に割って入れる。
・激怒
物理攻撃に打ち勝つ力を獲得する。
・軽蔑
短所が目立つようにするため欠点を認識させる。
・嫌悪
長所をもて遊ばせ、機能しなくする。
・後悔
精神的なダメージを与えるため、トラウマを再生する。
・悲痛
受けたダメージを共有する。
・失望
一度成功した行動に失敗を付与させる。
・驚嘆
位置や状況を逆転、入れ替える。限定的に力を超過することで認識させる人そのものを誤認識させることができる。
・畏怖
優位性を示した相手から攻撃といった対象を取られない。
・恐怖
優位性を示した相手の盲点に入れる。
・服従
能力や権限の所有権を一時的に剥奪できる。限定的に力を超過することで人の感情も一時的に剥奪できる。
・憧れ
見たモノに限りなく近い模倣や贋作が作成できる。限定的に力を超過することで人の感情をも根幹から作り変えておくことができる。
・愛情
大切にしたいという絶対的な物理的防御力が付与される。
・ロシアの愛
生物に対する知見が広く、再生分野に非情に特化した能力。
・ブラジルの勇気
ステゴロという観点では他の追随を許さず、武装したところでその武術を突破できないほどの業を持つ能力。




