第十一章の登場人物と単語帳
*こちらは第十一章のネタバレを含んだ紹介となっています。一読する時は注意してください。また、少しでも綴られた世界に目を通して頂く上で、補足となれば幸いです*
~登場人物~
【箱庭】
・幾瀧 純
自称人類最強を謳う異人。花実を元に創られた一人でありながらもその存在はバグと評されるほどに異質なモノとなっている。成長、進化をすることを目的に投資されたが、花実からすると想像以上の成果を持ち帰って顕現した。奏造へ独学への到達に拡散、命名による存在の確立権限を所持、極めつけは成長、進化を周囲へ促すまで世界に影響を与える存在へと成っている。そんな己の異質な才覚に人類最強を名乗るに相応しいのか、解決できる事象に立ち向かうことは、自作自演は楽しいのか、という狂者の葛藤に苛まれている節があるものの、それと向き合うことを、やはり世界は楽しいと思ってしまう自分を受け入れることで向き合ってみせた。一方で、バカにも種類がいると知り、自分は恵まれているのだとも自覚する。
・ヘンリー・カンバーバッチ
八角柱にイギリスの希望として所属していた。想造を行使することが出来る異人。マイアチネにいる異人代表のような立ち位置。そのためフィリップに持ちかけられた異人に人体実験が施されるかもしれないという忠告を審議し、その証拠を抑えるために共同戦線を張る。戦闘では盤外戦力であるバルナペを圧倒し、そのまま獙獙と共に三体の無名の演者を退治する。
・最茶 獙獙
アンダーソン・フォース所属していた中華系アメリカ人。幼女、幼い女性に異様な固執を見せる。想造を行使することが出来る異人。物語終盤、盤外戦力であるバルナペを突破するが、アーキギュスの依頼で立ちふさがるミアに返り討ちにされる。その後、不能男の依頼でミアを救出と同時にヘンリーと共に無名の演者三体を退治する。ただ、それだけでは留まらず、リディア、幼女を蔑ろにする戦場を目撃し、真の実力を発揮し、紛争を集結させた。
・リディア・ロビンソン
八角柱にオーストラリアの知恵として所属していた。想造を行使することが出来る異人。アーキギュスの人体実験による戦闘における最初の負傷者となる。その後は八角柱という役職からターチネイトとの抗争の最前線に立たされる。歳不相応の責任感と戦場に身をおいた上でコレットの瀕死、味方の暴走が相まって泣き崩れる。最終的にコレットの修復などをするために神輿に一時的に参入する。
・コレット
波を操るラクランズのバーストシリーズ。想造を行使することが出来る異人もといラクランズ。リディアを危険に晒したこともあり、前線に率先して参加し、フォローに回る。謎の声の助言からリディアたちに危険が迫っていてその解決がコレットだと聞かされていたものの、一段階早い段階で行使してしまい、真の災厄時、ターチネイトの覚醒ではなく味方の暴走前に、奏造を、詠唱を相殺する音波生成が出来ず、沈黙していた。
・シャリハ・ムバラク
八角柱にエジプトの信仰として所属していた。想造を行使することが出来る異人。誰かからの信仰を失ったことでハツラツとした面影はなく、自身も失い戦力としては全盛期の十分の一にも満たない。途中で自身と周囲の期待を少しだけ感じて持ち直す。ミアが元になっているが信仰の対象はあくまでも他者から、である。
・マーキス・ホメイニー
パーチャサブルサービス所属の筋肉質な黒人。多種多様な銃火器の扱いに長けゲリラ戦を得意とする。想造を行使することが出来る異人。ハーナイムに来てすぐにケイデンと組んで純に雇われる。また、ターチネイトに純の提案でスペという愛称をつける。そこで愛着が湧き、スペを大切に思うようになる。最終的に純に雇われているという理由で神輿に派遣という形で参入する。
・ケイデン・バンクス
パーチャサブルサービス所属の若き銃器の使い手。チャラチャラとした正確とは裏腹に的確な状況判断が出来る。ハーナイムに来てすぐにマーキスと組んで純に雇われている。最終的に純に雇われているという理由で神輿に派遣という形で参入する。
・テルム・メーヴィス
純からカウンセリングを受けた一人。八角柱の動向を見て今後の身の振り方を決めようとしていた。リディアの助っ人として戦場に奏造を可憐に扱い参戦する。
・ポオッツ・トーラス
純からカウンセリングを受けた一人。元の世界に戻りたいと駄々をこねていた。奏造を習得し、己に力があると過信し、戦場ではその力を暴走させ敵味方問わず甚大な被害をもたらしながら煽動した。その責任のために最終的には獙獙に殺される。
・ラムゼイ
純からカウンセリングを受けた一人。マイアチネの残留を望んでいた。
・豊浜
純からカウンセリングを受けた一人。ハーナイムもといマイアチネという未知の土地に不安を漏らしていた。
・ゴリガン
純からカウンセリングを受けた一人。マイアチネの外に行くか悩んでいた。
・ボブ・ハワード
アンダーソン・フォース所属し、第四次世界大戦で殉職した存在。省吾に蘇生され、純の妨害をするために、またチャールズを再起不能にするために合流した。
【マイアチネ】
・アーキギュス
世宝級で唯一のアンドロイドにして国を治める存在。創造という観点で研究、もとい様々な機械を生み出している。彩音の研究、【箱庭】の出資者の一人。ターニャに創られたターニャの半身だったもの。ターニャという人間の半身を機械化した後に、肉体部分を代替品に置き換えることで誕生した一人。マイアチネで製造された全てのアンドロイドに支配権限を持ち、彼らの情報は共有が出来る。アンドロイドの発展を望む末に、人間からアンドロイドが出来るなら、アンドロイドから人間も逆説的に可能なのではないか、と自身の境遇から思い至り、人間への進化を望むようになる。そのため、花実との共同戦線を敷いていた。最初は無名の演者を八体鹵獲し、生物の機械の融合に着目していたり、ラクランズという自身の箱庭提供技術のサンプルや合成人や新人類といった可能性の塊に目移りしていたが、純との模擬戦を経て、奏造を知ったことで、その先を、人間を更に知れると判断し、人間の死を経験するという長年の計画を実施する。このために不要な人間をターチネイトに意識だけを搭乗させ社会貢献という名の擬似的な人体実験を行っていたが、研究を打ち切る覚悟で虐殺を敷いて、人間らしさ、生への執着を獲得し、周囲のアンドロイドにも伝染させた。さらに純との戦いを経て奏造を異質の言霊に変質させるが、勘違いであることを知り、暴走は止まり、純に敗北する。最後まで人間に憧れた。
・ティニア・イブリース
もう一人のアーキギュス。ターニャの半身から生まれたアンドロイド。性格まで全て一致しているわけではないが、あくまでターニャの夢のために突き進む。アーキギュスが表舞台に立ってる間はスペアとしてイブリース家に匿われている。代わりにイブリース家の安全を保証している。人間を創造神として捉えている節がある。アーキギュスがバグった奏造を習得した際にエドメによりスタンドアローン状態にされ、花実に回収されている。そのため、バグった奏造をハーナイムで使える唯一人の無垢な存在となった。
・ターニャ・ハイヤーン
人間に近いアンドロイドを創るために自身を半分にし、二人のアンドロイドを作り上げた博士。綱渡りに勝利し、完成を遂げるも果たしてそれがターニャとして機能しているかは謎のままである。
・ブッピン
アーキギュスから純に支給された携帯端末に人工知能として搭載されていた型番号V496。V+完全数(Pefect Number)から特に考えなくブッピンと命名される。しかし、純に名付けられたということが特別な意味を称しており、同世代の人工知能とは大きくかけ離れた人間性を獲得し、アーキギュスの管理下にありながら純を陰ながら支えた。
・多岐 花実
世宝級の一人で進化に着目している。現在、身を隠しており失踪扱いになっている。変異種やアーキギュスの様な人工知能に一つの可能性を感じて研究している。また彩音の研究、【箱庭】の出資者の一人。成長や進化を観測するために自身を元とした存在を【箱庭】に産み落とした。純と邂逅し創子と想造、はたまたこの世界の大まかな事情を教えた後、自身の実験場でもあるマイアチネに純を放ち、周囲に与える影響を観測していた。そして、純同様、世界のバグに成りえる、転じて世界のあり方を問える存在であるティニアを回収することに成功する。そして、マイアチネを放棄し、部下であるエドメに実験対象でもあるティニアや多くの変異種を連れてニムロー共和国へ向かった。
・フィロル
蟻の変異種。花実と行動を共にしている。
・エドメ・コロンポ
第四党である公正党所属の中年議員。有能な怠け者として知られているが、その実は花実と行動を共にする工作員である。戦闘面でも八体の無名の演者を鹵獲できる力量を持つ。ティニアの回収を花実が迅速にできたのもエドメが目を光らせていたからである。
・スペ
マーキスに支給されたターチネイト。純の前でマーキスが命名したことで他とは違う何かを獲得する。そのため死を体験したことで、死にたくないから死ぬ前に殺すという理由で人間に牙を向いた暴走したターチネイトとは違い、共生の先で生き残りたいという理由でマーキスの元へ駆けつける。現在は異人の暴走の被害にあり身体を修復中。そのためにマーキスも加入することになった神輿に一時的に加入している。
・ディマス・イブリース
現イブリース家当主。病床に伏せている。この国の歴史を知る人物でアーキギュスやティニアの正体を知り、人体実験にもターチネイト搭乗者の軟禁候補となる人材の提供を黙認することで一族の地位と安寧を享受していた。しかし、ターチネイトが暴走したことを知り、この国の終わりを見たのか、カルロに全てを打ち明け身軽になるとそのまま当主の座を明け渡した。
・カルロ・イブリース
第二党である社会人民党議員の代表にしてイブリース家次期当主。反アンドロイド派の中でも過激派に属しているが、その実は過激派の舵をとっていた中立派に近いポジションの人間。現当主とティニアからこの国の成り立ちとイブリース家が確固たる地位にいる理由を聞いて衝撃を受けるものの、甘んじて受け入れる。最終的に政権においては第一党の代表、つまりマイアチネを治める最高位に、アーキギュスの後釜になる。
・フィリップ・イブリース
警官。階級は警部補。反アンドロイド派の中でも穏健派。アンドロイドの動向には細心の注意を払っており、人間にとって変わろうとしている、という噂を追っていた。異人の登場により人体実験が加速することを懸念して国民を守るためにヘンリーらに自分たちを守るという共通認識を植え付けて、その目論見の証拠を手に入れるため奮闘する。
・シュニー・イブリース
警官。フィリップの妹でもある。優れた観察眼を持ち、自身の家柄、職業、はたまたアーキギュスの力も使い、国内に限り、多くの情報を扱う情報屋としても活動している。そのため常に中立であることを心がけ敵は作らないようにしていたが、純の力に惚れて最終的に協力を申し出る関係になる。アーキギュスの依頼で場に混乱を持ち込むために神輿を雇い、アーキギュスが鹵獲した無名の演者の解放などを依頼した。断流会に所属しているものの密偵ぐらいの立ち位置である。
・エノク・イブリース
県庁職員。イブリース家の中では戦闘力が高い存在。もしもに備えて異人が招き入れられた時に牽制、護衛要因としてカルロのそばに立たされていた。
・ミア・イブリース
第一党である共生党所属の議員。恋人であるカシュパルの蘇生の代わりにアーキギュスに協力している。一方で、人間の不利益になる情報はカルロに流していたと二重スパイの様な役割を果たしていた。戦闘に於いては自分を信じた分だけ絶大な達成率を習得する特性、思い込みの権化のような力を有している。シャリハの元にもなっているが、こちらの対象はあくまでも自分自身。その潜在能力は盤外戦力足り得るとブッピンに予想されており、事実、獙獙を圧倒し、純を楽しませている。最終的に恋人を人質に取られる形で神輿に一時的に所属する。
・カシュパル・ブラーハ
意識不明のミアの恋人。身体の大部分を機械に換装することで実質的な蘇りを画策しており、ターニャの半身から似たような生い立ちを経験しているアーキギュスに治療もとい改造を受けている。ミアの成功するという確信の下、その蘇生は成功の兆しを常に残している。現在は神輿の元、アーキギュスが残した情報と技術、さらにリディアの助力を得て完遂しようとしている。
・デチモ・キエザ
第二党である社会人民党所属新進気鋭の若手議員。反アンドロイドの中でも過激派に属する。カルロの下に過激派としてもついているがどこか感じられるその意欲の低さにトップの座を奪おうと目論んでいる。その一方で、しっかりと部下としての役割は全うしており、ターチネイの暴走時はカルロに指示を仰いで、ターチネイトの立場を悪くするためとは言え異人救出に尽力した。
・チュドネ・パレーヌ
サイボーグ化した人間。人間がアンドロイドに化けているという疑いを向けられたが、ただの一般的な患者。区別がつかない、という点が恐ろしい懸念点の例である。
・?
警告しているのかもしれないがワケのわからない言葉を並べているためほとんど伝えてくれない存在。一回目はヘンリーたちの端末に、二回目はコレットに直接接触してきた。第十章の登場人物の?とは別人です。
・■■
存在は明らかにされないが、すでに登場しているのだろうか。
【神輿】
・不能男
神輿のボス。この世界で唯一、想造を使えない人間。奏造も使えなかった。故に、何も出来ない男ということで不能男という異名を持つ。なお、その異名を本人も気に入っているため、いつしか本来の名前を名乗らないようになった。部下からはバカと罵られるが、信用されている。一方で、学はないが、己の欲に正直に加えて状況を簡略的に把握することには長けている。
・バルナペ・アペラール
盤外戦力と称される人間の一人。規格外の戦闘力を持つとされていた。本人は感受性に乏しく、元来のスペックをただ振り回すことを許してくれた不能男の元にいるのが楽で神輿に所属している。しかし獙獙やヘンリーに敗北し、弱さを痛感し、同時に成長の伸びしろを目の当たりにし一皮むけた。
~単語帳~
・創子
頭で理解していることであれば、それに該当する材料が手元にある前提の元、完成までの工程を無視してその場に製造、発生させることのできるエネルギーの名称。
・想造
創子を使って想像を現実に反映する行為の名称。
・奏造
純が披露した頭で知識として理解していることを、言語で表現、詠唱することで想造を実施する革命的技術。実はすでにこの言葉も技術もハーナイムには存在していたらしいが、なぜか内容は抹消され奏造という言葉だけが辛うじて伝承されている状況である。
・しゅんらい
雷を放出する手段の一つである奏造。『春艸之雷』は氷の蕾を生んでそこから雷を開花に合わせて射出する。『瞬雷』は雷のような速さで細い一撃を放つ。解釈、想像次第で技が大きく変質する。以下の奏造もである。
・にちりん
熱、炎を放出する手段の一つである奏造。『太陽之林』は周囲の光を太陽の様な形に集積したもので増幅を繰り返し、熱光線として射出する。『釼輪』はチャリオットの車軸部分が槍となって外装を貫通している燃えた車輪にさらに炎の剣が付属したものが無差別に地上を転がる。
・りっか
花を模した物質を出現させる奏造。『結晶之花』では氷の花を一輪咲かせた。また補足で更に言葉を続けることでより明瞭に現実に投影できる。『結晶之花咲うは燦々の銀世界』で氷の花畑を『結晶之花落とすはその御影なり』で岩の花畑を出現させた。
・バグった奏造
アーキギュスの勘違いによって生まれた自然の摂理を超越した奏造。超常現象他ならない。『闇世』、『相反』、『惹起』、『大山鳴動』、『拒絶』、『死屍累誄』、降唾』、『羽掃星』、『罅隙』、『公害』などが生まれた。
・世宝級
想造を扱う人間の中でも世界各国が認めた技術、知識共に実力を兼ね備えた人間に与えられる称号であり総称。選定基準は国宝級が曖昧なのに対して明確にあるらしい。現在、レーナと彩音、マヌエル、花実、アーキギュスが登場している。
・盤外戦力
想造の使い手としての実力は世宝級ほどないが、それを補って余りある規格外の何かを有しているものにその危険性を啓蒙する意味でも与えられた称号。世宝級ではなく、世宝級の様に序列として数字を持たないという意味も込められ盤外としノーナンバーズと読ませる。現在、鋼女、唯一、雑貨屋、バルナペが該当者として登場している。
・ハーナイム
六つの大陸を有している惑星の名称。紘和たちのいるコートリープ大陸、友香のいるザラギフド大陸、アリスたちのいるソレクチルス大陸、彩音たちのいるルケタ大陸、そして純たちのいるモアポリティカ大陸の計五大陸が登場している。
・マイアチネ
モアポリティカ大陸の中央よりやや北に位置する国。機械都市
・ターチネイト
アーキギュスによって作られた第八世代のアンドロイドの総称。
・イブリース家
マイアチネを治める名家。
・神輿
傭兵組織の一つ。何も出来ないボス、不能男を担ぐという意味で作られた。特異な人間を頂点とする組織である他に、盤外戦力が所属しているため組織としてはそれなりに大所帯で業界では有名。
・箱庭
彩音によってハーナイムを元に作られた世界。
・異人
ハーナイムに来た箱庭ビオトープ出身の人間をハーナイムの住民と区別するための総称。
・断流会
ケイが中心となり、名目上は秤外戦(力エクセプションズ)関与により世界が崩壊することを未然に防ぐために発足された組織。世界の崩壊に結びつく出来事が予言書としてまとめられてそれを参照し活動を行っている。組織に在籍が判明している人間はケイ、サミュ、レーナ、エディット、マヌエル、ベンノ、シュニー。
・秤外戦力
ハーナイムを崩壊まで導くとされる六人の危険人物。現在、紘和と純が紹介されている。