第九章の登場人物と単語帳
*こちらは第九章のネタバレを含んだ紹介となっています。一読する時は注意してください。また、少しでも綴られた世界に目を通して頂く上で、補足となれば幸いです*
~登場人物~
【箱庭】
・アリス・レイノルズ
最初の新人類。女。イギリス出身の孤児で親代わりでもあったジェフを探すために活動している。成りすましを最大限に使いこなす特異体。
本章では紘和の力として一時的に身体と魂の適合性を見抜く力を行使できる。これによってハーナイムの人間か箱庭の人間かはもちろん、副次的にマヌエルに上書きされた人間を区別することもでき、事件解明に一役買った。
一方で、成りすましの力が大きく成長し、いずれ成りすました対象に飲み込まれ自我を消失してしまうのではないかという恐怖に直面するが、ジェフに会いたいという強い思いと、周囲の励ましもあってそれを克服している。克服ついでに成りすましをより深く理解し使いこなせるようになり、結果としてより純度の高い成りすましで戦闘に出来るようになった。
・ジャンパオロ・バルボ
プロタガネス王国在籍の箱庭随一のハッカーとされ情報戦を得意とする。男。
本章ではアリスを利用しつつも保護者としての立ち位置を全うしつつあった。しかし、想造という力を手に入れ出来ることが広がってなお足りない自分を補うため、否さらなる進化を求めて最終的にマヌエルに手を差し伸べる。現在、ジャンパオロの中身がどうなっているかはわからない。
・アンナ・フェイギン
ロシアの愛にして最狂。女。【漆黒極彩の感錠】の現所有者。イーシャと名前を偽ったり、【漆黒極彩の感錠】の驚嘆の超過などを用いてリュドミーナの分裂体と立場を入れ替えたりし、周囲に自身の力、【漆黒極彩の感錠】の存在を悟られないように立ち回っていた。一方で医療従事者でもある側面から異人を全て無事に助けたいと奔走する。
・リュドミーナ・ボチャロフ
プラナリアの合成人。普通の合成人よりも付与された力に特別なものがあったが、それはマヌエルによって付与された意図的な力であった。つまり、箱庭で培養された検体であり、結果マヌエルに取り込まれる。その後はジャンパオロにマヌエル同様取り込まれたように見えているが今はどうなっているかわからない。
・茅影
リュドミーナの分裂体の一人。リュドミーナの次にアンナに信頼をもらっているのか近しい関係にある。連絡要因として活躍するがリュドミーナがマヌエルに取り込まれた際に一時的に活動を停止する。復活後は分裂体と情報を共有する力を失ってしまい、プラナリアの驚異的な再生能力だけが残っている。
・グレタ
リュドミーナの分裂体の一人。連絡要因として活躍するがリュドミーナがマヌエルに取り込まれた際に一時的に活動を停止する。復活後は分裂体と情報を共有する力を失ってしまい、プラナリアの驚異的な再生能力だけが残っている。
・大山
特異な無名の演者の一人。新人類の能力で転移と成りすましを獲得したステゴウロス・エレンガッセンの合成人。現在成りすましでマイケルのカナダの節制としての力を再現できる状態にある。ハーナイムに来て、立て続けに敗北を期し、手に入れた力を見つめ直す。そして、オスムでの騒ぎに乗じて自身の力を再確認しようと乱入する。
・マイケル・サザーランド
カナダの節制。男。平等を謳い、異人にも平等に生活できる安全を確保するためにテルネンテにカナダを建国する。その後も対等に目線を合わせ協力関係を築ける国家を探して東へ領土を拡大していき、オスムへとたどり着く。
【ニムロー共和国】
・マヌエル・アレン
オスム出身で現在のオスム統治者兼町医者の男。世宝級の一人であり再現という分野の第一人者。マヌエルの世界に残した功績は医療の分野で大きく、その人当たりの良さから世界中からも支持されている。当の本人は口下手であり、挑発で前髪が目にかかっているぐらいに容姿などには無頓着でもある。
しかし、実際の所は人の皮を被った、と揶揄したくなるほどの狂人。自分以外何者も信じられないという理由で、どうすればいいかの解決策として他人を知ること、他人になることを解決の糸口として見出す。その後、弟子を被験体とし自身の記録を記憶として上書きして増殖、さらに初恋の人に愛されたいという理由を結びつけ、医療行為とかこつけて他人の記憶を記録として保持したまま自己を上書きする技術を獲得する。しかし、そこまでして他人を自己で再現しても他人であると結論づけたマヌエルは街の住人を使い実験を続ける。そして、最終的に断流会の導きに従い彩音と協力することで箱庭を創り出す。そこに自己と他者を意識下で結びつけるシステムとしてのリュドミーナを作成し、それを自己に取り込むことで、他人と自己の境界を無くすことに成功する。
一方でその過程で箱庭を創る技術、想造で本来できない事象を出来るようにしたとして想造出来るようにしていしまう技術の発見から世界の核心に触れる。
現在はアリスに敗北し、ジャンパオロの賭けに乗ることになったが、その結果は明確にされていない。
・メイ・アレン
アレンの初恋の人物。女。元は幸せな家庭を築いていたが、旦那が交通事故で他界する。その際、不倫していた事実も発覚し心身ともに疲弊していた。治療してもらったマヌエルに惹かれるようになり後に二度目の結婚をする。
実際は治療中にマヌエルに上書きされ、結婚生活を演じているだけのマヌエルとなった。
・ケース・エーヴェ
マヌエルの弟子の一人の男。研究テーマとして人の認識を心理学の観点で追いかけている。研究の分野的にも活動の拠点が医療現場でもあることから、人を洗脳しているかもしれないという容疑の筆頭に挙げられる。実際はアリスたちと接触時はすでに中身はマヌエルであったため当たらずも遠からず、といった存在だった。
・リディア・トラーゴ
マヌエルの弟子の一人の女。研究テーマとして人の認識を哲学の観点で追いかけている。アリスたちと接触時はすでに中身はマヌエルであった。
*リディア・ロビンソンと名前が被っているため、後日トラーゴの名前を改める予定です。
・エリヒオ・ブローサ
マヌエルの弟子の一人の男。研究テーマとして人の認識を情報工学の観点で追いかけている。そこから派生し機械都市マイアチネと接点を持ち共同で研究を進めてもいる。アリスたちと接触時はすでに中身はマヌエルであった。
・メレンチー・バーべリ
ニムローの軍人。男。職場の同僚でもあり、友人でもあるヴィタリーに抱いた違和感とその妻であるフェオドラに頭を下げられ、周辺調査として軍に反旗を翻しているとたと捉えかねない問題を調査することになる。そこでアリスたちと共闘関係を結び、違和感の正体を掴むことには成功する。
・ヴィタリー・アニシン
ニムローの軍人。男。メレンチーの職場の同僚でもあり友人。妻にフェオドラを持つ。マヌエルに上書きされていた。
・フェオドラ・アニシン
元ニムロー軍人。女。メレンチーの元上司でありヴィタリーの妻。夫のヴィタリーに違和感を持ちメレンチーと解決へ翻弄する。メンバーの指揮を任されており、外部からサポートしている。
・カトリーン・ブルス
ニムローの軍人。女。メレンチーの部下。メレンチーを慕っている。他には冷たく当たる一面を持つ。
・鋼女
神出鬼没な何でも屋。都市伝説としても語られている存在。盤外戦力と評される一人。変異種と人間のハーフという特殊な生い立ちを持っており、その境遇から人と変異種の共存を望んでいる。しかし、どちらかという変異種の偏見を取り除く行動に全力を注いでおり、変異種にまつわる事件には積極的に介入し解決している。介入が間に合う理由として特別な情報筋を持っているらしく、その情報筋の仕事に協力することで協定関係を結んでいるらしい。
・キヨタツ
トンボの変異種。オスム周辺に変異種の集落を持ち、そこの長としても活動している。変異種の中では珍しく人語を解することが出来き、名称を持つ存在。
・ルドル
イルカの変異種。オスム周辺に変異種の集落を持ち、変異種の安全を護るために日々活動している。変異種の中では珍しく人語を解することが出来き、名称を持つ存在。
・フィン・ベッツ
青年Aとしての本当の名前。その中身はフィンの記憶を記録として保持したままマヌエルに上書きされた個体がその記憶を記録としてそのままに、保存してあったメイの人格を上書きしたことで出来上がった第二のメイ。マヌエルのお飯事から脱却するためにマヌエルの情報をアリスに流すなどして街の崩壊を望み、それを叶え野に解き放たれた人間。
・花牟礼 彩音
箱庭の発起人。女。死者の蘇生のデータを手に入れその見返りに協力者であるマヌエルにリュドミーナを始めとした様々な情報を共有して、本来の目的を果たすべくその場を去っていった。
・壱崎 唯一
十家の一つ、壱崎家当主の男。戦いにおいて人類の頂点と謳われる盤外戦力の一人。
~単語帳~
・創子
頭で理解していることであれば、それに該当する材料が手元にある前提の元、完成までの工程を無視してその場に製造、発生させることのできるエネルギーの名称。
・想造
創子を使って想像を現実に反映する行為の名称。
・断流
創子を任意の空間内に供給させないための壁を生成する想造の名称。これによって空間内で想造を行使することが困難になる。
・国宝級
想造を使う人間の中でも国が認めた実力ある人間に国が与える称号でありそれに該当する人間の総称。国ごとに独自に決定するためその実力は選定基準共に曖昧なものである。
・世宝級
想造を扱う人間の中でも世界各国が認めた技術、知識共に実力を兼ね備えた人間に与えられる称号であり総称。選定基準は国宝級が曖昧なのに対して明確にあるらしい。現在、レーナと彩音、マヌエルが登場している。
・盤外戦力
想造の使い手としての実力は世宝級ほどのないが、それを補ってあまりある規格外の戦闘力を有していると評されるモノに与えられる。世宝級でなく、世界宝級の様に序列として数字を持たない故に盤外の戦力でノーナンバーズと読ませる。現在、鋼女と唯一が該当者として挙げられている。
・ハーナイム
六つの大陸を有している惑星の名称。紘和たちのいるコートリープ大陸、友香たちのいるザラギフド大陸、ルケタ大陸、そしてアリスたちのいるソレクチルス大陸が現在確認されている。
・ニムロー共和国
ソレクチルス大陸の三分の一を国土に持つ国。
・オスム
ニムロー共和国北西にある小さな街。近年はマヌエルの実験場と変わり果てていた。
・テルネンテ
現在、名称をカナダに変更したと宣誓させられたソレクチルス大陸西にある国。
・フオディア
ルケタ大陸南部にある国。十家を有するルケタ大陸を代表する戦闘国家。
・マイアチネ
機械都市という俗称を持つ国。
・箱庭
彩音とマヌエル、そして他何らかの力を借りて完成させた異人こと第一部登場人物たちの住んでいた地球と呼ばれた世界の正式名称。ハーナイムという惑星、その住人を元に創られた第二のハーナイムでもある。想造を実行するためにハーナイム内で観測できるモノに落とし込み創子が反応するようにするための必要十分装置。
・異人
ハーナイムに来た箱庭出身の人間をハーナイムの住民と区別するための総称。
・変異種
想造を行使できる人間以外の特別な知性を持った生命体の総称。名称を持つものとして鋼女、キヨタツ、ルドルが登場した。
・断流会
謎の男が中心となり、秤外戦力関与により世界が崩壊することを未然に防ぐために発足された組織。世界の崩壊に結びつく出来事が予言書としてまとめられておりそれを参照し活動を行っている。組織に在籍しているとして現在レーナ、エディット、マヌエルが登場した。
・秤外戦力
ハーナイムを崩壊まで導くとされる六人の危険人物。現在、紘和のみ紹介されている。
・十家
フオディアに存在する十個の武術に精通した名家の俗称。現在は壱崎家、七知枝家、十塚家が登場している。
・蝋翼物
神に並ぼうとして創られたとされる三つの兵器の総称。またこれを所持するものは付随してサイキョウの称号を得る。
・【対象兵器:漆黒極彩の感錠】
鍵の存在しない錠前の蝋翼物。選ばれた者が夢から醒めると首にぶら下がっている。八つの感情をベースにプルチックの感情の輪に則って十六の異能を任意で発現させることができる。十六の異能に関しては"第四章の登場人物と単語帳"を参照。
・新人類
その人間が持つトラウマを六つのカテゴリーに分けて異能として付与させる効果のある黒い粉を投与された人間の総称。
・合成人
陸の血液を他の動物と混ぜて人間に投与し、動物の力を反映させることが出来るようになった人間の総称。
・無名の演者
陸によって、人間とラクランズ、黒い粉、そしてそれらを結合するための陸の血液を元に作られる黒い液体を【想造の観測】によって合体させた生物兵器の総称。量産型と違い特別に作られた個体を特異なという接頭語を用いて呼ぶこともある。そういった個体は別途名前を与えられてもいる。