勇者と女幹部のショートコント
勇者
今日も暇つぶしに魔王城までやってきたわけだが、誰も居ないな。
女幹部
おい勇者。
勇者
うわ!いきなり誰だ!
女幹部
私は魔王様の直属の部下、女幹部。魔王様に会いたければ私を倒していけ。
勇者
やってやるよ。
女幹部
!?やるだと!貴様私に何をする気だ!!
勇者
え、いや、戦うんだろ?
女幹部
……。そうだったな!私を倒せると思うなよ!
勇者
倒してみせるさ。
女幹部
!!お前!私をどこで押し倒すつもりなんだ!?
勇者
いやだから戦って倒すって意味だろ。
女幹部
……そうはいくか!魔王様に認められた私の実力を甘く見るなよ!
勇者
上には上がいることを思い知らせてやるよ。
女幹部
!!!!お前、私の上になるつもりなのか!そういうのが好みなのか!
勇者
(面倒くさいのに当たってしまった)じゃあいくぞ。
女幹部
な、お前!私を置いてどこに行くんだ!やはり魔王様の方が良いのか!?
勇者
なんだよお前さっきから!言葉の捉え方がいやらしいわ!
女幹部
い、いやらしいだと!貴様やはり私に卑猥なことを!
勇者
だから戦うんじゃないのかよ!お前、本当に幹部なのか?
女幹部
そうだ!しかしこの前まで酷い傷を負って休んでいた。
勇者
ん?傷だったら魔王に治してもらえばよかっただろ。
女幹部
魔王様にも私の傷は癒せなかった……。そう!それは失恋の傷だったから!
この話は彼に出会った2年前に遡る!
勇者
あ、これ2時間くらい話し始めるパターンだ。
女幹部
侵略に出向いた街で彼に出会った。街の兵士達がみな私の力に恐れをなして逃げ惑う中、たった1人だけ私に挑みかかってくる男がいた。
勇者
そいつに惚れたわけね。
女幹部
いや私はその男を容赦なく殺した。
勇者
じゃあ何でその話出したんだこのヘッポコピー
女幹部
この話は重要な伏線になってくるんだ!黙って聞け!
勇者
何キレてんだよこいつ……。
女幹部
そしてその街を支配下に置いた後、
私は仕事のあと飲むと決めているジャスミンティーを楽しんでいた。
勇者
あ、ティータイムに誰か来たのか?
女幹部
いや誰も来なかった。
勇者
ぬあああああ!まどろっこしい!ジャスミンティーのくだり全く要らねえじゃねえか!
女幹部
な!まどろっこしいだと!私の心の傷を癒そうという気はないのか!
勇者
無えよ!せめて話の尺を10分の1に縮めろや!
女幹部
そんなことをしたら たった3時間で終わってしまうぞ!
勇者
30時間話し続けるつもりだったのかよ!?サービス残業かお前は!
女幹部
魔王様に会いたくば私の恋バナを聞いてから行くんだな。
勇者
どんな立ちふさがり方だ!もう失恋した場面だけ話せ。じゃないと俺は帰るからな。
女幹部
……彼と初めてデートに行った時だった。
勇者
おう。
女幹部
朝の10時に公園の噴水前で待ち合わせだった。
なぜその場所を選んだかというと彼の家から近かったし、何より2人が出会った場所だったんだ。私も彼もそういう思い出は大事にする派だったからな。あ、思い出というのは過去に囚われるという意味じゃなくて、なんというか、人生絶対忘れちゃダメなことってあるだろう?そういった意味での思い出のことでだな。
勇者
……。
女幹部
それはそうと話はデート前日の夜に遡るんだが……。
勇者
ふおおおお!長い!長い!縄文時代かお前は!
結論どうなったんだよ!?
女幹部
そして私は無感情に鼻毛を抜く機械と化した。
勇者
どういうことだよ!?前後関係どういうことだよ!?
女幹部
だから飛ばしたら話の流れがおかしくなるんだ!諦めて2年前の話から聞け!
勇者
30時間も聞きたくねえよ殺す気か!俺はもう帰るからな!
女幹部
そんな事を言うな。このジャスミンティーを飲みながらゆっくりしていけ。
腹が減ったらクッキーもあるし、眠たかったらそこのソファーで寝転んでも構わない。
勇者
お前ん家かここは!俺は逃げるからな……。あれ?扉が開かない。
女幹部
逃がさない……。私の恋バナを一通り聞くまでこの部屋から絶対に出さない……。
……あれは15年前の事だった。
勇者
イ、イヤー!魔王さん助けてー!
終わり
お読みいただきありがとうございました!
勇者と魔王のショートコント
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