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堕落した少年  作者: NEKO
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第七章

これで僕の中学受験戦争は終わった。

二年前から勉強を頑張って、何百万という大金をかけられたが、合格校数は0。公立の地元の中学校に通う事になった。小学校の行事として公立中学を見学をしたり、制服などの物品を購入したり、着々と準備を進めた。父とは受験最終日の夜から会っていない。お互いに避けている。口数も減って、一言も喋らない日もある。僕は人形の様になっていた。


小学校を卒業して数週間後。中学校入学式を迎えた。周りには小学校の頃からの知り合いが多くいた。噂をされている訳じゃない。それなのに周りの目が異様に気になった。担任は数学担当の三十代前半の男性教師。そいつのあいさつと自己紹介で入学式の日のホームルームは終わった。

次の日からは早速授業が始まった。と、言っても最初の授業は担当教師の自己紹介と教科書配布で終わった。唯一数学だけは担任が担当なので多少授業をした。しかし、簡単すぎて時間の無駄だった。

学校にいてもバカになるだけ。入学してから一カ月弱過ぎた頃、僕は学校に行かなくなった。

世に言う「不登校」だ。しかし、ただ引きこもりではない。ずっと家にいるが、ちゃんと勉強している。学校に通うよりもずっと効率が良い。成績を残すため定期テストの時だけは学校には行く。定期テストの主要五科全て九割だ。毎回総合順位は学年一位。独学最高。学校に通ってバカ共と勉強するよりずっと良い。

引きこもりとは家で遊んでばかりいる奴らの事だ。僕は違う。定期テストの時以外学校に行かないとしても、学校の授業時間の時には勉強している。その時間にはゲームやマンガに一切手を触れない。もちろん、放課後の時間になればゲームもしたりする。それでも、毎日ではない。学校に通ってるバカな奴よりも頑張ってると僕は思っている。

なのに父は学校に行けと言う。以前、中学受験の勉強をしている時期に父は言ったのだ。

「地元の公立中学に行っても何も意味がない。」

父はその言葉を連発していた。何度も何度もはっきりと言った。何も意味がないと。それを忘れてしまったのか。

今の僕はかつての父の意見と同じ考えだ。ただ、父は口先だけ。本当の意見は違う。まぁ、当たり前だ。あんな奴と意見が同じなんて嫌だ。

父の言う事は全て無視する。聞くはずがない。大嫌いな父の言うことなんて。

いつしか『大嫌い』という気持ちが日に日に殺意へと変わっていった。ギッタギタに切り裂いて殺したい。

でも出来ない。出来るはずがない。いくら殺したくても、僕は父が怖いのだ。父には絶対に勝てない。殺そうとしたら逆に殺される。父への殺意と恐怖を持ち合わせたまま何事も起こる事なく月日は過ぎていった…。

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