第六章
この時にどちらか一校でも合格していれば、僕の努力は見事報われ、幸せな中学生活へ向かっていけただろう。だが、世の中そんなにうまくいくはずがない。当たり前だ。結果。第一志望校、不合格。第二志望校、不合格。僕は絶望した。試験は明日もある。でももう終わりだ。この気持ちは切り替えられない……
二月六日。受験戦争最終日。最後の希望、第六志望校。ここのレベルは中の下。偏差値40前半。元々受けるつもりもなかったほどレベルが低い。落ちるなど考えられない。
問題はとても簡単。何校も落ちて、心がズタボロの僕でも絶対に合格する確信があった。
学校の質は第一志望校より相当悪いが、僕の努力が全くの無駄にならないだけまだマシだ。
夜。合格発表されるホームページを見た。確認するまでもなく合格だろうと思っていたが、一応確認はした。僕の番号は377だ。
301、339、352、369、384……384、369……無い。僕の番号が…無い。意識が遠のいて、床に倒れこんだ。その様子を見た母も結果を見た。
母は怒らなかった。それどころか慰めてくれた。多額のお金をかけられ、大きな期待をされていながら、どこにも合格できなかった僕を。人生が終わった訳じゃない。これから頑張ろうと。母の言葉がなければ間違いなく僕は狂っていただろう。
倒れた僕はしばらく居間で休んだ。
しかし、そう長くは休めなかった。すぐに居間は地獄と化した。父親が現れたのだ。
結果を教えろとの事だ。見せたくなかった。だが、どうせ後で分かってしまう事。今見せないのはただ先延ばしにするだけだ。
結果を見た父親は真顔でパソコンの画面を殴りつけた。鈍い音と同時に画面が割れる。気にする事なく、父親は僕を凝視した。それから父親は感情のこもっていない声で淡々と二時間以上僕を怒り続けた。
それで結果が変わるわけでもないのに……。




