第三章
二月一日。受験戦争開幕。
今まで積み重ねてきた努力を信じて戦うしかない。
僕は気合を入れて受験する二校へと向かった。
レベルは二校とも上の下ほど。僕にとってはレベルが高い、挑戦校だ。
当然周りの受験生は自分より頭が良いだろう。
だが、そんな事は関係ない。受験は自分との戦いだ。自分に打ち勝ち、実力を出しきれば合格を勝ち取れる。
午前に第一志望校、午後に第二志望校を受けた。
手応えはある。二校とも合格出来たはずだ。
試験直後の僕は自信に満ち溢れていた。
結果はその日の午後九時までに出た。
第一志望校不合格。第二志望校不合格。正直ショックだった。
母は父のいない所で僕を励ましてくれた。しかし、父は僕を怒鳴って怒った。あれだけ勉強したのに落ちた。僕の自信は全て崩壊した。一生懸命勉強してきた。嫌でも頑張った。それだけが自信だった。なのに……。
二月二日。二日目。今日も二校。午前に第三、午後に再度第一志望校を受けた。
第三志望校のレベルはだいぶ落ちて中の中ぐらい。所謂滑り止めだ。まず落ちる事はない。
再度受けた第一志望校も昨日より解けた気がした。
結果。二校とも不合格。さすがの母も残念な様子だったが、ちゃんと僕の事を励ましてくれた。
しかし、僕は立ち直れそうにないほどショックを受けた。第三志望校にも落ちた。合格率80%前後、まず落ちる事はないとずっと言われていたのに。自信はとうに消えた。僕にはもう不安しか無い。
二月三日。三日目。今日は一校、第二志望校だけ午前中に受験し、午後は第一志望校に向けて勉強した。
第二志望校の試験は解けた気がした。しかし、自分の感覚は頼りにならないと二日間で実感した。
そんな不安を抱えた状態で勉強しても第一志望校に受かるとは思えない。
結果。第二志望校、不合格。母もついに励ましてくれなくなった。




