一章5 イカれた異端なるもの
「ピンポーン」
誰かが口でチャイムした。
「よう久しぶり、元気にしてたか?」
そして勝手に謁見の間にきた。
まあべつにいいや。
「なに勝手にはいってんだ靴脱げバカタレ」
リリスがしばく。
「で、誰おま」
「オレを忘れたか?」
「マスター・グランディア、元彼ですか?
彼女には今は私というペットがいるんですが」
「いや彼氏いたことないし。男と口きくの小学生以来だわ」
「は?ちげーし」
「つーか誰だよ」
「お前の幼馴染だ」
――――――――――
思い……出した……。
同じ幼稚園で中学も同じで、高校別れてから疎遠になってトゥイッタで再開したけどいきなりブロックされて行方不明になったもはや唯一の女友達のルイだ。
「って場面区切りのバーいらんくね?」
「ほらアニメだとシーエム入るときに」
「いやアニメじゃないから」
「お前あいかわらずだよなー」
「こんな姿になっても私がわかるんだ……」
恋ではないがそれに似て友情を通り越した複雑な感情をルイには抱いていた。
「幼稚園からの幼馴染で唯一の友達だし。
テイオン!でいうマドカちゃんとアイちゃんだしやばい興奮する姉の幼馴染×姉いいわ~」
しかし、私には許せないことがある。
それはトゥイッタをブロックされたことだ。
垢特してフォローしたら今度は完全に消えたのだ。
まさか再開するなんておもってもみなかった。
しかもネナベして。
「じゃ、その変の家に住むからちょくちょくくるから」
――――――――――
ニュースうぜえ。セイジとかどうでもいいわ。
{ふがふが}
なんだこのオッサン。何言ってんのかわかんねーよ。テロップだせ、つーかクタバレ無能野郎。
「よ、またきたよ」
「なにかよう?」
「言い忘れたこと、言いにきた」
「なに?」
「お前あいかわらずヒキってんのな。
こんなとこで居場所作って頑張っても、世間は認めてくれないよ」
「認められたくて生きてるわけじゃない。好きに生きればいいじゃん」
「でもさ孤高気取ってるけど、ある意味人助けじゃね。
このギルドに、ゲーム世界に閉じ込められた奴等かくまうとか、誰かに認めてほしいって言ってるようなもんじゃねーの?」
「別にかくまったわけじゃないよ。私が高見から人を見下ろすことに快楽を覚えるだけだよ」
「相変わらずクズ」
「クズで結構」
「最後にひとつ“お前イカれてる”」
「ほめことばじゃん。世の中私よりイカれてるやつのほうが多いんだから――――」