1話 気がついたらいた
とりあえず。私と妹は異世界に入ってしまった。
「あーどうしよ明日学校なのに」
妹・名をリリス(本名・りあ)地面に膝をついている。
「私は毎日がエブリデェイだから、関係ないけどね」
親指を立て、自虐しつつ妹を励ます私。
名をカオス(本名・かな)リアルでリリスの中身の姉である。
それは日曜日の夜のこと。妹がバーチャルリアリティとかいうのをやりたいといいだし、なかば強制的に参加させられた。
ちなみに私はバーチャルには興味ない。平面of二次元が好きだ。
バーチャルリアリティが楽しめるイベントがあったので、ライヴ感で参加した。
そんで、まあ気がついたらログアウトを出来なくなっていたわけである。
ちなみに妹はノートパソコンを持っている。私はパソコンは持っていないのでガラケ使いだ。スマホが嫌いというより、使いにくい金的にスマホにはしたくない。
「ねえおね……カオス姉上、あそこにダンジョンがあるよ!」
妹が指を座した先に洞窟があった。
「うほぉ! なんか金目のものがあるよ!拾ってもしものために蓄えようよ」
リリスがどっかからとりだした袋に金塊をつめた。
えー私は必要なときに必要なぶんもらえれば満足だよ。宵越しの銭はもたん!がモットーだよ。
つーかこの世界ゲーソフとか売ってる店ないでしょ。と言いそうになり、口をつぐんだ。
誰がどこで聞いているかわからないし。なんか溶け込まないといけないみたいな雰囲気だ。
「ねーなんかさ、やばい雰囲気してんだけど」
「ああうん、そうだね。きっと神様かなんかが私たちをこの世界に……」
「そうじゃなくて!」
リリスが私の肩を叩いて、指をさした。
「グッヘヘヘ」
気持ちの悪い美人がこちらを見てニヤニヤしている。
妹を守らないと、お姉ちゃんだし。
オークや男じゃないだけまだマシ――――だめだ。
私って美人ボインちゃんと細マッチョイケメンくんは殴れないタイプなんだわ。
「オークのほうがまだマシだったあああああ」
「どうしたのお姉ちゃん」
「くっ……妹(13才)のほうが二十歳ババアの私より若くてかわいいけども!(うすぎたねー手で妹に触るなんて許さないんだから!!ほら、好きにしなさいよ!ていうか)むしろおねがいお姉様あああ」
やべっ本音と建前が逆だあああああ。
「はやまらないでカオスううううう」
「えへっへっへっ……いいんですかぁ」
じゅるり舌なめずりをする。
「おらぁ!」
「ヘブン!」
美人はぶったおれた。
「あ、この杖かわいい。装備良さげだし、いただこう」
――――――
「ようお前らいい装備もってんじゃねえかぁ寄越せよ!!」
THEイケメンに腕をへし折られる系にして一話で主人公にボコられるしたっぱ雑魚悪役系オイハギチンピラ野郎が私達に絡んできやがった。
まじうぜぇ。
「ザクッ」
「アンギャママア!」
「うちの妹がごめんねーとりま治してあげるよー(とりあえずまあヒールっていえばいいんだろ)」
「はいまたザクッ!」
「リリスなにしてんのー!」
とりあえずまあヒール。
―――――――――――
「さてどうしよう。とりま定番のギルド作ろうよ」
「うん作ろう。ただしメンバーは美男美女限定で(ゲス顔)」
「姉上が男じゃなくてよかったよ」
「リリスって女の子ばかりのアニメ好きだもんね」
「アニメだけだから!ノーマルだから!」
必死になるところが怪しい。
「はあ早く家に帰ってデバンゲルヨンとかクレンガダンとかガッシスズとかパリーチとか観たいなあ」
「パリパラとかパレキアとかサンササヲオウとか軽四とか」
「つまるちゃん観たいなあ兄妹萌えるなあ……」
「ネプチーヌのドリルかわいいなあ……」
「やっぱ異世界クソだわ」
「帰ろう帰ろう!」
―――――
「あの店テレビがあるよ!」
「ラッキーここ都会じゃん!」
「うええい人形劇ファンタジーの最新話だああああ」
「やっぱ病気も学校も試験もない異世界でいいやー」