迷路編②
「おし……やるか」
俺は気合を入れ直して、迷路を進んでいく。
「ん? ここ……さっきも通らなかったっけ?」
流石におかしいと思った俺は、さっきとは別の道を進む。
「グルルルルルル」
「……なんだありゃ」
俺は立ったまま寝ているドラゴンを素通りしつつ、零の寝ている場所を探す。
「流星」
「なっ!?」
しかし、ドラゴンは突然目覚め、流星のように力強い拳を俺に振り下ろす。
「うおっ!」
俺はそれを泉で弾き、霊力弾をドラゴンに打ち出す。
「グオオオオオン」
ドラゴンは一撃でその場に倒れる。よ、弱え……
「だからって、コレはないだろ……」
「「「「グルルルルルル」」
今のドラゴンが4匹、俺を囲むように出現し、4方向から一斉に俺に対して「流星」をお見舞いする。
「あ、危なっ!」
俺は咄嗟に横に避けて、霊力弾をばら撒く。
しかし、俺は避けたことで落とし穴に落ちた。
「ウワアアア!」
こうして、大丈 優一は、とある『場所』に一番乗りで辿り着くことになる。
◇◆◇◆◇
「はぁ……どうしようか」
俺は今、盛大に迷っている。
「上か……下か……」
此処は迷える路、即ち迷路。
迷路には、分かれ道が付きものであり、たいていは片方がハズレだ。
「ええいままよ!」
俺はそう叫んで、下へのはしごを降りていく。
「……え? 閉じ込められた!?」
はしごは突如外され、博麗 海斗は三層ある迷路の内、下層から出られなくなった。
こうして、博麗 海斗は大丈 優一と同じように、とある場所に閉じ込められるコトになる。
◇◆◇◆◇
「能力使用不可って……どうやって戦えばいいのよ」
まあ、妖力弾や霊力弾が使えるのはわかっているけれども。
「うーん……さて、どうしようかな……」
私は様々な所にある槍や手裏剣、ボウガンに剣などの攻撃トラップをかわしながら、左右どちらの道に行こうか考える。
「右も左も、結果は変わらないような気がするのよね……。コレは、むしろ戻っちゃおうかなー」
私はそう言いつつ、左の道に進む。
すると、咄嗟の判断で回避できないくらいの大きな落とし穴にひっかかり、地面に落ちていった。
こうして、篝火 煉も、とある場所にいざなわれることになる。
◇◆◇◆◇
「なんか、落とし穴に三人の人が落ちた気がする……」
霊斗の異様に敏感な肌は、何をしなくても空間掌握をしていた。
ま、そんなのどうだっていいけどな。
……で、とりあえず誰を見つければいいのか、その検討はある程度ついている。
零の奥さんである、『神谷 神姫』さんだ。
彼女の声なら、零を一瞬で目覚めさせることができるだろう。
俺はそう考え、全神経を研ぎ澄まして神姫さんを探す。
「……なんで檻の中に閉じ込められてんの?」
俺は思わず、ボソッと呟く。まあ、行くしかないだろう。
俺は、三人の人間が落ちたであろう場所に通じる穴を作り、飛び込んだ。
◇◆◇◆◇
「じゃあ、説明始めますね。指令〈あっち向いてホイ〉。あの宝箱が見えますか? あの宝箱には鍵が入ってて、貴方がた四人の中で、一番強い人がその鍵で私を助けられます!」
なんだこの演技力。
説明始めますねとか言っときながら、某マナちゃんのような迫真の演技。
みんなはそれに騙されて乱闘始めてるし。
もう、意味がわからない。
みんなの弾幕はなんか全然当たんないし。霊斗の念話に騙されてなんか俺、標的にされてるし。
霊斗が来たと思ったら、優一や煉に後ろから狙われるし。
なんか俺達、数が増えているし。
もう本当、優一と霊斗がやたら俺本体を見極めて狙ってくる。
前者四つは零のスペルで、最後のは2人の能力と言えない能力だから、セーフだし。
火山弾とか降ってくるし。
本当にワケがわからない。