迷路編①
『アー、アー。マイテスイマテス。よし、聞こえてるか?』
拡声器から伝えられる音声と共に、戦闘の後に一箇所に集められた俺たちの周りに、巨大な壁が張られていく。
『迷路〈出会い頭ミステリーハウス〉
不運〈トラップハウス地獄〉
えー……これから君たちには迷路に挑戦してもらう。クリア条件は何処かにいる俺を起こすこと。
そのために必要なのは、とある人物のどちらか。ソレを見つけて、何処かで爆睡している俺を起こした奴には……世界一美味い飯をやる。
じゃあ、とりあえず迷路に出場する人を転送するからな。』
零がそう言うと、俺たちはそれぞれ、迷路の何処かに送りこまれる。
『俺以外の禁止行為は能力とスペルの使用。あとは自由だ。ヨーイ……開始!』
零が合図を出すと、早速ボカボカと壁を壊す音が聞こえる。
すると、誰かと誰かが出会ったらしく、弾幕を撃ち合ったり、拳を打ちつけ合う音が聞こえる。
「はぁー……あいつら迷路って何か知ってんのかな?」
俺はこういうのはとにかく楽しみたいタイプなので、壁の破壊は無しでいこう。
「で……今回出るメンバーは、あいつ(作者)から聞いてるんだよな。
シルクさんより、『博麗 海斗』
八雲優一さんより『大丈 優一』
ウチからは俺と、『霊妹(俺の妹)』に、『霊愛』か。
江玖糸亜さんより『妹』
ksr123さんより、『エルミー』
超絶暇人さんより『篝火 煉』」
合計8人、まあ普通だな。
あとは、見つけるべき2人か。
見たことはないが片方は「零と似ている」もう片方は「少し考えればわかる」人物だってヒントももらったからな。
っていうか、エルミーと妹ちゃん、いつからいたんだ?
ま、いいや。
さて……探すk!?
「おいおい……いきなりかよ」
俺の目の前に現れたのは、何枚もの壁を突き破って吹き飛ばされたエルミーだった。
エルミーが吹き飛ばされた方向には、妹ちゃんがいる。
「何よ……東方の二次創作キャラは能力が使えなくなるとコレだから……」
「お、楽しそうだな」
「くっ……」
「おう、エルミーだな? 最近どうにも昔のことが思い出せなくてな……」
その瞬間、パシンッという音が響く。
「戦闘不能への追撃ってのは、フェアじゃないだろ?」
「そう?」
俺と妹ちゃんは短くそれだけ会話すると、格闘技戦に突入する。
妹ちゃんの真上に振り下ろされる正拳づきを横から受止めたことでできた歪な体勢を2人は立て直し、俺はエルミーの体を遠くに投げる。
「妹ちゃん、でいいかな?」
「何だっていいわ」
「そうかい」
またも短い会話をすませると、俺は妹ちゃんの蹴りを腕で防ぎ、腕とは逆の脚で蹴りをお見舞いする。
それも防がれ、今度は妹ちゃんのパンチをかわし、背負い投げをお見舞いする……が、妹ちゃんは無理な体勢からアクロバティックな攻撃を俺に決めてくる。
「うっ……」
有利と見た妹ちゃんはそのまま攻撃に転じるが、俺は裏拳を決める。
手刀を首筋に振り下ろし、妹ちゃんは倒れる。
「掃除終了。ま、これからまた復活するんだろうけど」
俺は巨大な亀に蛇が生えた化け物の攻撃を避け、アッパーを決める。
『えー、たった今、幾つかの余興を用意した。弱いのですぐ倒すように』
余興って……コレのことか? きっと、コレは玄武なんだろうなー、とか思いつつ、散歩を再開した。
「うー……いたた。あれ? エルミーとあいつは? ……いない。まあ、いいや」
どっかであまりにも早すぎる回復した声が聞こえたが、きっと気のせいだ。きっと。