雨
ザァザァといつもは耳障りな雨音が今は心地いい。
耳に馴染むその音に埋もれて、私は雨空を見上げた。
厚い雲に覆われた空。
後悔、挫折、停滞、それらが私を取り囲む。
この道を選んだことを後悔していて、小さな失敗で挫折をしてしまって、進めなくなって立ち止まらば停滞となる。
どうする?どうすればいい?
問いかける人なんていないし、問いかけたところで答えが返ってくるわけじゃない。
戻れるわけじゃない、進めるわけじゃない。
灰色の雨に打たれる私が見える世界は灰色で、先が見えなくて進む道すらもわからないのだ。
今の私そのものだ。
目的地は最早見失った。
どんなにもがいても見つからない。
雨の音が強くなった気がした。
戻れないし進めないなら、どうしたらいいんだろうか。
叫び声が喉元まで来て締め付ける。
最初から分かっていた筈でしょう?
私が私に問いかける。
そうだよ、わかってたよ。
でもその道しか私には見えていなかったんだよ。
頬に張り付いた髪が気持ち悪い。
体に張り付く服が鬱陶しい。
水を吸った靴が重い。
視界が霞む。
雨水が入ったかな、なんて目を擦っても視界の霞み具合は変わらない。
それどころか酷くなっていく。
頬に雨水以外の生暖かい液体が流れた。
頬が濡れてるのも視界が霞むのも全部雨のせい。