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聖夜  作者: ityou
8/13

対抗策

今日は土曜日。

藤野さんからの押しめのLINEなど急速に女子とのつながりが多くなってしまった1周間だった。

お陰で僕はヘトヘトになっている。

そんななか、隆生から「会いたい」とLINEが来た。

正直、男から会いたいと言われても嬉しくない。

僕はいつもの癖通り約束の時間の15分前に着く。

場所は近所のファミレスだ。

友達だけでこういう場所に来るのは何年ぶりだろう。


しかし、事件が起きた。


約束の時間は11時半だ。

しかし、今の時刻は12時ちょっと過ぎ。

僕は1分感覚で隆生にLINEでメッセージを送る。

しかし、既読がつくだけで返事はない。

多分、急いでいるのだろう。


そんなことを考えながらお冷を口にしていると店のドアが勢い良く開いた。

そこには、息を切らせまくった隆生の姿があった。

「遅いよ。」

僕はハッキリという。

昔から言いたいことはハッキリと言うタイプ。

「ごめん、色々調べてて…」

そう言うと隆生がお冷を一気に飲み干す。

そして、真顔になる。

「いいか健志。これから話す内容はお前にとって超重要な事だ。一字一句漏らさずに聞けよ。」

いつもの100倍以上に真剣な顔つきになった隆生が言う。

「うん。」

その必死な顔に僕も真顔になる。

「昨日、1年の西田さんから話があるって言われたわけよ。」

「うん。」

西田さんは生徒会書記で1年生だ。

「告白かと思ったら違って、健志に関係する話を聞かされた。」

「僕に関係する話?」

「あぁ、なんか彼女いわく、俺と同じ副会長の藤野さんが山田琴梨っていう女子と手を組んでお前を蹴落とそうと計画しているらしい。」

「情報元は?」

「だから、西田さん。この間、生徒会室前でその2人が話していたらしい。クリスマスデートで坂元を落とすって。」

「マジかよ…」

僕は驚いた。

まさか、ここまで恨まれているとは…

ある程度は覚悟していたけどまさか蹴落とすまで言われるとは…

「で、これからどうするか?」

「どうするって…」

刹那、僕の携帯からLINEの通知音が鳴り響く。

相手は…山田さんだった。

「うわぁ…まさかの山田さんからだ…」

「なんて書いてある?」

「えっと…『クリスマスイブの夜はあいてる??』だとさ。」

「完全にビンゴ。お前、行ったら騙されるぞ。そして、何かしらの方法でそれなりの事に巻き込まれる。」

「はぁ…」

僕は断ろうと思い、返事を打とうとした時だった。

「あ!!!!!」

隆生が叫んだ。

もちろんここはファミレスだ。

12時代だからほぼ満席。

一気に注目の的となる。

「馬鹿、少しは静かにしろ。」

僕が咎める。

「すまん。名案を思いついた。」

「なに?」

ちなみに。僕と隆生との付き合いは中学の時からだ。

かなり仲はいいと僕は思っている。

でも、こいつが「名案」というと必ずバットエンドを迎える。

「健志、騙されろ。」

「は?」

真顔で言うもんだから言葉が出てこない。

「いいか、騙されたフリをして相手の弱みを握ればいいじゃん。そうすれば今後、こんなクソみたいなことこないじゃん!!」

「隆生、名案だな!!」

僕はテンションが上った。

再び注目の的となったことは言わなくても感じ取ってほしい。



「騙されるにしても敵の行動はある程度把握しとかないといけないね。」

僕と隆生は近くの公園に居た。

そこで今後の見通しを考えている。

「確か、藤野と山田は5組だな。」

隆生は何でも知っている。

特に女性に関しては。

「そうなんだ。」

僕は半ば興味無さそうに聞いた。

「お前の目は節穴か。」

隆生にバカにされた。

「そこまで言う…」

僕は少しうなだれた。

でも、この会話もいつもどおり。

「確か、生徒会の中に変な奴がいたよな。確か5組だよな。」

「変なやつ…あぁ、中2病の畑中か。」

「そそ、そいつから話を聞こうぜ。それか、スパイとして使ってもいいし。」

「あね~」

「てことで、明日から本格的にこそこそと動きますか。」

「了解。」

こうして、僕たちは別れた。




「ね、畑中くん。」

「なんだい、ダークプリンセス?」

キモい。

「私と…ヤろっ。」

「私と契約したいのか。少々早いがいいだろう。」

ウザい。

「じゃあ、先に風呂に入ってきてよ。」

「ふふ、綺麗にしてこよう。」

死ね。

そう思いながら私は用意したドリンクに睡眠薬を混ぜる。


10分後、畑中が風呂場から出てきた。

何故かあの辺が膨らんでいるのは気にしない。

「じゃあ、私も入ってくる。」

私も入る。

そして、バスローブに着替える。

部屋に戻ると畑中の荒い息が聞こえた。

マジ無理。

そう思っていると…

「プリンセス-!!!!!!!!!!」

と叫びながら畑中が飛びかかってきた。

私は咄嗟に避けた。

「いきなりは…恥ずかしいよぉ…」

私は甘い声で言う。

「す、すまない。」

「いいわよ。さ、これでも飲んで…」

睡眠薬入りのドリンクを渡す。

それを畑中は疑いもなく飲み干す。

すると畑中は私をベットに押し倒す。

私のバスローブを脱がす。

しかし、それ以上のことは起きない。

だって、寝てるし。

「ふぅ…危なかった。」

私はそう呟きながら、畑中に襲われたかのように仕組む。

うまく写真を撮る。

後はこれで強請るだけ…


翌日、私は畑中からフィギャア代として貯めてあった20万を騙し取った。


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