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聖夜  作者: ityou
3/13

事件のはじまり

「さて、こんなもんでいいかな。」

『あぁ、いいと思う。』

「疲れた。」

『お疲れ様です。』

そう言うと僕は隆生との電話を切った。

そして、ふーっとため息をつく。

そう、この事件の発端は2ヶ月前に遡る。



「以上で演説を終了いたします。ご静聴ありがとうございました。」

体育館に拍手が鳴り響く。

僕は生徒会選挙の立会演説を無事に終えた。

そう、事件はこの生徒会選挙が大きく影響している。


僕が選挙に出馬しようと思った理由はこの学校の生徒会システムに興味を持ったからだ。

普通、学校の生徒会は死んでいる。

笑いさえ取れれば選挙に通る。

そして、いざ生徒会役員組織が構成されると使い物にならない。

彼女とデートだの部活だと言い仕事を陰キャラに押し付けて帰る。

なのに、表で仕事をするのはいつもは仕事をしない奴ら。

こういうのを見ていると僕は許せなくなる。

しかも、僕は中学校でも選挙に出たのだがその時は笑いととった奴らにボロ負けだった。

それが悔しく、いつかはリベンジしたいと思っていた。

そして、自宅から一番近いという理由だけで選んだ高校の生徒会が素晴らしかった。

本当に奇跡のような話だ。

1年生の時に先輩の生徒会を見て感激した。

これが僕の生徒会にそして生徒会長になりたいと思うきっかけとなった。


出馬する権利は赤点さえ取らなければ問題がない。

だが、当選するには色々と思案しないといけない。

マニフェストを思案し、どういう演説で印象を残すか。

考えることはたくさんあった。

特にこのマニフェストは厳重に考える必要がある。

生徒会選挙規約に『マニフェストを実行出来なかったら重大なペナルティが課せられる』とある。

だから迂闊に決められない。

とても難しいのだ。

とにかく難しい。


今年の出馬人数は23人。

その中から会長が1人、副会長が2人、書記長と会計長が1人ずつ、書記と会計が2人ずつの合計で9人選ばれる。

決め方は上から投票数が多い順に決まる。

だから、僕はなんとしてでも1位になるしかない。

そのために努力や少しの権力を惜しまなかった。


そして、今回の一番のライバルが藤野あかりだ。

学園の彼女にしたいランキングで上位に入っているらしい。

僕はそういうのには興味が無いから詳しくは知らないけど。

そういう人は人気票が入りやすいと分析している。

しかも、彼女の親友らしい人…山田琴梨がいる。

彼女も彼女にしたいランキングで上位に入っている。

噂ではかなり顔が広いらしい。

そういう人に勝たないといけない。

本当に神頼みだ。



「以上で終わります。」


藤野の演説が終わった。

その時僕は正直負けたと思った。

それくらい彼女の演説は素晴らしかった。

体育館の歓声も一番大きい。

僕は半ば諦めていた。


しかし、僕は生徒会長になった。


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