トラップ
さ、2話目です。
よろしくお願いします!!
琴梨が提案したホテルへと着いた。
市電にバスを使って約1時間かかった。
時刻は9時過ぎた。
「さ、入ろっか。」
琴梨のテンションが上がっている。
美味しい食事があるからなのか、僕とデートができるからなのか、他になにかあるのかわからない。
でも、楽しそうにしている琴梨を見ると僕も楽しくなる。
「うん。人が多いから逸れないように…」
僕はそっと彼女の手と繋ぐ。
一瞬、琴梨はビックリしていたがすぐに冷静さを取り戻し僕の手を取る。
初手繋ぎ。
「手を繋ぐのも初めて?」
琴梨が聞く。
「学校行事とかで数回…」
恥ずかしい。
「ぷっ…」
琴梨が笑いをこらえる。
「だって、琴梨が初めての彼女なんだよ?初めての事だらけだよ…」
「そ、そうなんだ…」
琴梨が頬を赤らめていう。
なんだか嬉しい。
「さ、食べよ~」
今日は聖夜祭ということで食べ放題となっていた。
いつもは1品毎に注文するシステムだが今日は特別らしい。
いつもを知らないからよくわからないけど。
食べ放題の制限時間は90分だった。
食べて話してを繰り返しているとあっという間の時間だった。
こんなにも楽しい食事は初めてだった。
「楽しかったね。ありがとう琴梨。」
ホテルのロビーで並んで座り話をしている。
「こちらこそありがと。私も楽しかった。」
琴梨も楽しかったみたい。
良かった。
正直、僕はデート中も不安だった。
本当に楽しんでいるかどうか。
ま、嘘だとは思うけど。
「で、これからどうする?」
時刻はそろそろ11時になろうとしている。
「琴梨、帰りたくないな。」
琴梨がニヤッと言う。
僕も男だ。
その台詞の意味くらいわかる。
「わ、分かった。」
そうして僕たちは琴梨が事前に予約してあった部屋へと入った。
「ね、健ちゃん。先にシャワー浴びていいよ。」
琴梨が言う。
「いや、琴梨入んなよ。男の後は嫌だろ?」
「別にいいよ。健ちゃんの後なら。」
「琴梨…」
可愛すぎる…
吹っ飛びそうな理性を気合で保ちつつ風呂へと足を運ぶ。
「さて、ここからが正念場だ。」
僕は気合を入れてシャワーを浴びる。
念入りに洗う。
「さ、ここから失敗はできない。」
僕はそう呟いて風呂場を後にする。
「琴梨、いいよ。」
僕はベットに横たわっている琴梨に言う。
「はぁ~い」
琴梨が眠そうに立ち上がり風呂へ向かった。
風呂場から布が擦れる音が聞こえる。
そして、その音が止んだと思うと今度はシャワーの音がする。
僕は興奮した。
いや、こういう場面で興奮しない男性がいたら教えて下さい。
こんな馬鹿なことを考えているうちに琴梨が出てきた。
しかも、バスローブ姿で。
あ、もう理性崩壊です。
僕は琴梨の胸に手を伸ばす。
「ちょっと、健ちゃん…」
スルリとかわされた。
ちょっとショック。
「ごめん、あまりの美しさに我慢できなくてさ…」
僕は正直に言う。
「へ・ん・た・い!!」
そう言いながら僕の鼻に軽いデコピンを食らわす。
「僕は正常な男です。」
そう言うと琴梨は笑い冷蔵庫からジュースを取り出す。
「これでも飲んで落ち着いてから…始めようよ……」
琴梨が最大限に顔を真赤にして言う。
「う、うん……」
僕もその時が迫っていると思うと緊張してくる。
「じゃ、乾杯!!」
「乾杯!!」
僕と琴梨はグラスを軽く当ててから一気に飲み干す。
ホテルのジュースなのかかなり美味い。
いままでに味わったことのない味だ。
あれ…
視界がボヤケ出した…
意識が…
朦朧と…
あれ…
電話が鳴っている…
夢?
いや、現実でだ。
僕は目を覚ました。
ジュースを飲んでから意識を失ったみたいだ。
「うぅ…もしもし……」
『あ、健志か?』
「お、おぅ…」
『大変だぞ。お前の昨夜の写真が学校でばら撒かれている。』
「嘘…だろ……」
僕は昨夜の記憶が無い。
何をしたのか覚えていない。
怖い…
怖い怖い…
「どうしよう!!」
僕は電話の主、大野隆生に相談した。
『まぁ、落ち着けよ。』
隆生は落ち着いていた。
僕はそれどころじゃないのに…
さて、ここからどうするかな…




