表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖夜  作者: ityou
13/13

緊急集会

事件が発生した。

それは、本校始まって以来の大きい事件が。

しかも、その犯人が現役の生徒会長。


本校に通う生徒はこのように捉えていた。


しかし、実際は違う。


この事件の犯人とされている生徒会長-坂元 健志-は被害者。

いや、ワザと被害者になっている。

こうすることで、真犯人を捕まえようと…



事件から3日後、生徒会掲示板に1枚の紙が掲示された。


『緊急生徒会役員会議を今日の放課後に行います。なお、通常はこの会議は非公開なのですが、今回はことの重大さにより公開いたします。』


そして、放課後。

体育館に緊急会議用の設備が置かれた。

「明らかにおかしいよな。」

「うん。まさか公開会議になるとはね。」

「橘木先生が加担してるのか?」

「いや、緊急会議の集会権は校長しか持たない。だから、藤野が遠回しの圧力をかけたと考えるのが普通だろう。」

僕は冷静に判断をする。

隆生はまさかの公開会議ですこし戸惑っている。

無理もない。

僕の無実、そして、真犯人を突き出すためには隆生の証言が重要になるのだ。

その証言次第で僕の運命は変わる。

「ヤバっ、緊張のあまり膀胱が破裂しそうだ。」

「いってらっしゃい。まだ時間はあるから。」

「おぅ!!」

そう言うと、隆生は体育館近くのトイレへと向かった。

同時刻。

体育館の袖に私達は居た。

「いよいよね。」

あかりが少し緊張した声で言う。

「なんか、嫌な予感がする。」

私は思ったことをハッキリという。

「え?」

あかりが不思議そうに言う。

「だって、あの坂元がこんな簡単に罠に掛かるかな?」

そう、坂元はこんな単純なミスをするとは思えない。

あれでも、生徒会長だしその辺の警戒はするだろう。

普通、ホテルに入った瞬間に逃げ出すはず。

そして、睡眠薬にも気付くだろう。

でも、なんで?

逆に不思議だ。

嫌な予感がする。

胸の鼓動が高まる。

これは横にあかりがいるからではない。

何かに恐れている。

なんかしないと…

「琴梨、大丈夫?」

ふと、あかりが声を掛ける。

それで、我に返る。

「すごい汗ね…そんなに緊張してるの?」

確かに私はすごい汗をかいていた。

「ちょっと、涼んでくる。」

私は体育館近くのトイレへと向かった。



「あっ。」

私はそこに大野がいることに気づいた。

「どうも。」

大野が素っ気なく頭を下げる。

「…何を握ってるんだ?」

私は何気なく言ってみた。

大野はずっと坂元と一緒にいる。

何か握っていてもおかしくないと思ったのだ。

「さあな。俺もいきなりのことで驚いている。お前こそ何か企んでんじゃないのか?」

いきなり、図星をつかれる。

しかし、ここで漏らすわけにはいかない。

「な、大野。お前何か握ってんだろ?言えよ。言えばお前を気持ち良くしてやるよ。」

「ほ、いいね。」

大野が食いついてきた。

これだから性欲満載の男どもは。

「でも、断る。」

「は?」

「俺は確かに童貞だし出来ることならヤりたい。でもな、健志を売ることは出来ねぇ-よ。俺は親友は大事にする。それに、お前みたいなヤリマンとはしたくないんだ。」

「私は処女だ!!!」

私は叫んでいた。

「そーなの?ならヤろっかな~」

大野がニヤけながら言う。

私は自分の発言に恥ずかしくなってきた。

私は大慌てであかりの元へと走りだした。




「格好いいな、隆生。」

僕はトイレから戻ってきた隆生に声を掛ける。

「は、健志、お前…見てたのか…?」

「全部。」

隆生は恥ずかしくなったのか、顔を赤くする。

「くそっ、大人しくあいつとヤっとけば良かった。」

「お前らしいな。」

僕らは笑った。

正直、僕はすごく嬉しかった。

隆生とはかなりの仲だとは思っていた。

ただ、それは僕が一方的に思っているだけかなぁ…と思っていた。

でも、今日、隆生の本音を聞けた気がする。

嬉しかった…


「さて、いよいよだな。」

隆生が真顔で言う。

「あぁ!!」

僕らは体育館の扉をくぐった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ