最終準備
「そろそろ誘わないとまずくね?」
あかりが言う。
「うーん。そうなんだけど、なかなか難しいんだよ…」
私は言う。
「やっぱ、坂元落とすの厳しいか…」
「うん…」
あかりも私も顔色が曇る。
ここで坂元を誘えないと今回の計画は水の泡。
「よし、ゴリ押しでいってみる!!」
「頑張れ、琴梨!!」
『ね、坂元くん!!』
私はLINEを送る。
「来たみたい。」
「ホント!?」
隆生が僕の携帯を覗きこむ。
「なんて返事しよう。」
「まずは、どうしたぐらいでいいが。」
「了解。」
僕は『どうしたの?』と返事を書く。
「あかり、返事来た!!」
「坂元にしちゃ早くね?」
「確かに…」
「気づかれた?」
あかりが不安そうに声を震わせて言う。
「あいつだよ?気付くわけない。」
私は自信満々に言った。
でも、不安もある。
あいつは頭がいい。
「よし、誘っちゃえ!!」
「うん!!」
そして私は、『クリスマスイブの夜って開いてる?』と返事をした。
「来た。」
「よし。」
また隆生が僕の携帯を覗きこむ。
「そういえば健志って山田と付き合ってるのか?」
「身に覚えがない。」
「じゃあ、『付き合ってない人と遊ぶ気ありません』って送れ!!」
「やだよ~」
刹那、隆生が僕の携帯を取り、模試を打つ。
返されてみてみると、隆生が言った台詞がそのまま打ち込まれていた。
「たく…」
僕は隆生の耳を引っ張った。
「マジかよ…」
私はすっかり忘れていた。
「普通だったら付き合いだしてから告白すべきだよね?」
「はい。」
「失敗したらどうするんだぁ~」
そう言いながらあかりは私をくすぐる。
「だ、大丈夫でしょ~」
そして、私は『ごめん、てっきり付き合ってるかと思ってた(笑)どうかな、坂元くんさえ良ければ付き合おっ!!』と送った。
「OKでいい?」
「あぁ、ちゃんとよろしくぐらい書けよ。」
「はい。」
僕は『OKです!!不慣れですがよろしくお願いしますm(_ _)m』と送った。
「デート勝ち取ったなり!!」
私はあかりに携帯の画面を見せる。
「よかった…これで作戦が進む…」
あかりは嬉しさのあまり、涙を流している。
「さ、ここから大事だよ!!」
私はあかりの頭を撫でながら言った。
「ありがとう。頑張ろ!!」
「うん!!」
私達は抱擁した。
「さて、これで罠にかかったわけで…」
僕は言う。
「逆に向こうが俺らの罠にハマったわけだ。」
「なるほど。」
「でわ、当日までゆっくり過ごすか。」
「うん、いろいろありがとう。これ、お礼。」
僕は隆生にiTunesカード3000円分を渡す。
「いいのか?しかもこんなに大きい金額…」
「うん。本当は物を渡したほうがいいのかなって思ったけど、ラブライブに使えるiTunesカードのほうが良いと思って。」
隆生はラブライバーで極度の課金厨。
「ありがと!!これで真姫ちゃんのUR当ててやる!!」
「おう、頑張れ!!」
そうして、僕たちは別れた。
時間はあっという間に過ぎ、ついに12月24日を迎えた。




