序章
初めのうちは内容がカオスになっているので、よく分からないと思いますが、読んでいくうちに分かってくるのでそこのところはご了承して読んで下さい。
ミーン、ミン、ミン、ミーン。
蝉の鳴き声、日が照りつける道、たくさんの人が行き交う公園、そんな世界が当たり前だと思う。
でも、その全てがなくなった時にどう思うんだろうか?
そんなことを考えている俺は今、死にかけている。
ついさっき学校から家にて遊んでいる子供がいきなり俺の前で道に飛び出してきて、よくアニメやらドラマやらにある、飛び出してきた子供がトラックにひかれそうになったところを身代わりになって助ける的な光景に出くわしてしまった。
でも俺は怖くて動けなかった。
これで目の前の子供が死んだって、俺のせいじゃない。自業自得だ。
こんな子供のために俺が代わりに死ぬ義理なんてない。そう思っていたから罰が下ったのか?
トラックの運転手がとっさにハンドルをきって、子供をかわして俺の方に突っ込んできた。
って訳で、今俺は死にかけている。
なんて理不尽な世界なんだ。
無関係な俺が、勝手に飛び出してひかれそうになった子供のために死ななきゃなんないんだ。
でも、生きてても良いことなんて何一つない。
世の中には、生きてて良かった。悪いことがあるから良いことがる。なんて言う人もいる。
けど、俺はそうは思わない。
俺は産まれてこのかた良いことなんて一度もなかった。
俺の親は俺が産まれてすぐに飛行機事故で死んでしまい、それからすぐに産まれたばかりの俺は親戚のおばさんに引き取られた。
親戚のおばさんは結婚したばっかりで子供はまだいいと言ってたけど、他に引き取り手がなかったから仕方なく俺を引き取った。
それから俺は不幸な人生を歩み初めた。
そして今、その最悪な人生も終わりを告げている。
いや、終わりを告げた。
ドスン
俺はトラックにぶつかってからすぐ意識をなくした。
真っ暗な世界、何も聞こえない。何も見えない。
その闇に体も意識も溶けなくなるのが分かった。
でも、その世界からは決して聞こえない声がした。
音も光もない世界に。
その声はどこか遠くの世界から聞こえてるような気がする。
そして俺を読んでいる気がする。
俺はその声に引き付けられるような気がした。
その声はどんどん大きくなり、視界に光が見えた。
眩しい光、久しぶりに見た気がした。
そして、光に慣れてきた目が最初に見たのは俺の上に乗っている少女だった。
「お兄ちゃん、起きて、お兄ちゃん。」
俺の上に乗っている少女は俺の体を揺すりながら起こそうとしている。
「あと少しだけ。」
二度寝をしようとしている俺に少女はボディプレスをして叩き起こした。
「もう~お兄ちゃんたら、二度寝なんかしたら学校遅刻しちゃうよ。起きて。」
苦しみ、のたうち回る俺を気にせず少女は喋り続けようとしている。
そんな少女のマイペースにこれ以上付き合うと体がもたないので起きることにした。
「あーあー、分かった、分かったから。もういいよ
咲夜。」
俺は少女、いや妹にそう言った。
ご愛読ありがとうございます。
次回から話しが展開していくのでお楽しみに。