ヒーローの仕事後半
沙紀ちゃんは学生なので遅くなってはならないといって帰した。
探偵もなぜか帰った。
しかたなく俺たちだけでは国会議事堂に侵入していた。
何故侵入できたのかって?
別に何かしたわけじゃない、誰もいなかったのだ。
なので簡単に入ることが出来た。
これは、かなり異常事態ではないだろうか。
別に警備員さんの職務怠慢を嘆いているわけじゃない。
さっきから何もしなくとも漂う緊張感、これは別に暗闇に包まれているせいだけではないだろう。
感じるのだ。同族の匂いを、
それは狂気であり生の香りそして死の色をはらむような何か。
本能が店長をこれに巻き込んではならないと告げる。
「おい、そろそろ帰らないか? 」
「む、何を言うか。事件の匂いを感じないか? これからだろう。
国会議事堂に人がいないことなどありえない。」
そこまで店長が言ったところで異変が起きた。
突然、白い煙が周りを包み込んだ。
これはなんだ?
習慣というものはなかなか抜けないもので、俺はとっさに息を止める。
そして、倒れこむ店長を受け止める。
危なかった。安らかな寝息が聞こえてきて一気に緊張がとかれる。
そして暗闇から現れる一つの影。
「よう、同類。」
それは、あの不良だった。