2-2
ぺろりと弁当を平らげた圭人は、無事に練習を乗り切ることができた。
午後はずっと紅白戦だった。
弁当を貰っていなかったらどうなっていたのかと思う。
とにかく今は防具を脱ぎ外したい。
しかし、そうはいかなかった。
「練習終わった後、ピッチング付き合ってよ、圭人」
それが弁当の代わりに与えられた条件だった。
当の彰太は監督に呼び出されている。
圭人は木陰に座った。
不意に股間をいじる。
長時間装着していたファウルカップのせいで、蒸れて不快だ。
キャッチャーミットの中も、手汗でべとべとする。
圭人は指先でファウルカップを叩いた。
こん、こんと軽い衝撃が圭人のまだ幼い性器を刺激し、くすぐったいような気がするが、何故だか気持ちよい。
味わったことの無い感覚。
ところが、それはすぐに勃起した。
ファウルカップの内側に沿うように反り勃ち、非常に窮屈になってしまった。
圭人はズボンの中に手を突っ込んだ。
位置をずらそうと試みるも、しっかりスライディングパンツのポケット部分に収納されたファウルカップは動かない。
その時、
「悪い、遅くなっちゃって」
と、彰太が駆け足でやってきた。
「……何してんの?」
「あ、違う、え……」
みっともない姿を彰太に見られ、ふためく圭人。
「……ピッチングはいいや」
彰太が呟いた。
「な、何で? やろうよ!」
彰太が引いているような気がして過剰に圭人は明るく振る舞う。
彰太はうつむいたまま、圭人も予想だにしなかった事を言った。