第3話:任務報告書 第1,203号 / 採取任務(銀苔/北森第四区)
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楓月23日完了の業務記録、以下に公開する。
本日は採取任務報告書を1点。
──書記担当(黄昏)
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任務報告書 第1,203号
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依頼番号 G-0423-02
依頼種別 採取(薬草)
依頼主 王都〈ヘルムランド〉中央医院
発令 第三紀308年 楓月23日 早朝
完了 第三紀308年 楓月23日 夕刻
任務難度 E(初級)
機密分類 C(一般任務)
報奨額 銀貨60枚
【任務概要】
北森第四区にて、銀苔の採取。
依頼主側要請量:乾燥状態にて500グラム。
用途:治癒薬〈月夜露〉の主原料。
直近、王都中央医院にて在庫が逼迫。
【派遣編成】
採取班(3名、戦闘班Aより1名臨時加入)
班長 ローザ・ヴェルナー「七節」 薬草師 班長歴10年
薬草見立ての精度は当ギルド随一。
識別可能な薬草種は137種。
ガル・ナフタ 鉱石採取・補助 在籍7年
北森一帯の地形に精通。採取補佐および荷役を担当。
臨時 ヨハン・グルント 弓兵 在籍3年
戦闘班Aより、護衛として臨時加入。
本任務における唯一の戦闘要員。
【経路】
07:00 ギルド本部出発。徒歩。晴れ、風弱し。
09:14 北森第四区、銀苔自生地〈月見の窪み〉到達。
採取作業開始。
12:30 昼食休憩。
13:00 採取作業再開。
16:42 採取完了。撤収準備。
17:00 撤収開始。
19:08 ギルド本部帰還。
【採取記録】
銀苔は月光を浴びると葉裏が銀色に発光する性質を持つ。
日中は緑灰色、湿った岩肌に張り付くように生育する。
〈月見の窪み〉は北森第四区の中心部、岩塊に囲まれた窪地。
銀苔の自生密度は当地域随一とされる。
09:14 到達時の所見:
窪地全体の岩肌に、例年と比較して銀苔の付着が薄い。
目視で、過去3年の同時期と比較し、密度の低下を確認。
ローザ判断:「30%減」。
09:30 作業開始。ローザが採取、ガルが運搬、ヨハンが周辺警戒。
10:48 採取量、想定の半分に達せず。
ローザ、採取範囲を窪地外周まで拡大することを決定。
12:30 昼食休憩時の累積採取量:乾燥換算で約220グラム。
依頼主側要請量500グラムの半分以下。
13:00 採取再開。第二採取地点〈杉根の影〉まで足を延ばす。
16:42 累積採取量:乾燥換算で約340グラム。
依頼主側要請量に届かず。
本日の作業終了を決定。
【採取品】
銀苔(乾燥換算) 約340グラム
※依頼主側要請量500グラムに対し、160グラムの不足。
副産物:
銅根草 12本(薬草、ローザ判断にて持ち帰り)
夜灯虫の抜け殻 3個(鉱石採取の副産物、ガル拾得)
【死傷】
戦死 該当なし
重傷 該当なし
軽傷 該当なし
【任務評定】
評定:可(採取量未達のため、優評定を見送る)
報奨支給:規定どおり銀貨60枚。
※採取量未達につき、追加報奨なし。
依頼主側対応:採取量未達につき、王都中央医院に報告予定。
不足分の代替手配は依頼主側にて検討との回答。
【特記】
銀苔の生育密度低下について、ローザ・ヴェルナーの所見を記す:
「銀苔は月光と湿度に依存する。
今期、湿度は平年並み。月光の遮蔽要因も確認されていない。
にもかかわらず密度が30%減じているのは、私の経験では
前例がない。
ただし、第四区限定の現象か、北森全域の傾向か、現時点では
判断できない。
次回採取時、第二区・第三区での比較確認を提案する」
調査班への共有を推奨する。
報告者 採取班班長 ローザ・ヴェルナー
受領 書記担当
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【書記担当所感(楓月27日追記)】
本書類の特記事項「銀苔の生育密度低下」について、
ローザ・ヴェルナーの提案を採用し、次回採取時に
北森第二区および第三区での比較確認を実施する旨を
採取班に指示済み。
任務報告書 第1,201号、第1,202号の特記事項との関連
については、現時点では確認手段なし。
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【閲覧記録】
楓月23日 夜刻 書記担当(受領)
楓月24日 朝刻 ギルド長代理 オットー・グレーゼ
楓月26日 朝刻 調査班長代理 レナルト・キム
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