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1章 第4話

ライアンは、完全に破壊された建物の跡を呆然と見つめていた。

瓦礫の山は、数分前まで“家”だったという事実を拒絶するかのように静まり返っている。


「ライアン」


ダニエルに肩を掴まれ、ようやく我に返った。


「この家の前に何度か停まっていたジープが、さっき近くの道路を通過したって情報が入った」


「……了解」


声は自分でも驚くほど低く、感情が削ぎ落とされていた。


「ここは別チームに任せる」


モンローの声。


「分かった。ジープを追跡する」


行動は即座だった。

ライアンとマーカスは装甲車に乗り込み、

ダニエルとモンローはバイクに跨る。


「移動開始」


三台のエンジンが空気を切り裂いた。


幹線道路の合流点。

装甲車が道を塞ぎ、バイクが両翼に待機する。


「……捕まえてやる」


モンローの呟きは、恐怖を押し殺すための儀式のようだった。



ジープだ。


停止の合図。

ジープは装甲車の前で止まった。


次の瞬間、窓から何かが投げ出される。

金属音を立てて転がり、装甲車の前で止まった。


筒状の物体。

側面に書かれた一言。


Magenta


「後退しろ!」


ライアンは叫び、車両に飛び乗った。


異様な静寂。

そして――爆発。


衝撃で装甲車が横転し、路面に亀裂が走る。

そこから、ピンク色の煙が噴き上がった。


視界が色で塗り替えられる。


「ダニエル、モンロー! ジープを追え!」


二人のバイクが坂の向こうにに消える。


ライアンは倒れた車内で通信機を掴んだ。


「こちらケラー。車両損傷。追跡班は分離。救援を要請する」


返答を聞きながら、彼の意識は別の一点に集中していた。


Magenta。


ただの色名ではない。

犯人は、事件に名前を与えている。

爆発を“作品”にしている。


その事実が、何よりも不気味だった。

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