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1章 第2話
桐生が何かを言おうとした瞬間、スタッフは早口で続けた。
「爆発は一回だけじゃない。
“俺の目的通りに動け。次は、また次へと爆発していく。威力も倍、さらに倍へと上がっていく”って……」
喉を鳴らし、乾いた唾を飲み込む。
「最初は、ただの悪戯だと思って……適当に返事して切ったんです。
でも、その直後に……」
言葉を切り、窓の外を見る。
黒煙はまだ消えていない。
桐生は低く息を吐いた。
これは事故ではない。宣言された事件だ。
「……電話の相手、他に何か言ってたか?」
「まだ、何も――」
その時、廊下の奥から足音が響いた。
走ってきたのは黒瀬だった。普段は感情を表に出さない男が、珍しく息を切らしている。
桐生の前で足を止め、スタッフに告げる。
「また電話だ。さっきの奴からだ」
桐生の視線が、黒瀬に向く。
「今度は、こう言ってきた」
黒瀬は淡々と復唱する。
「“次は通勤ラッシュの時間帯、横浜市内のどこかが爆発する。
要求は一つ。GNNワールドレポートを普段通りに放送開始しろ”」
その場の空気が、凍りついた。
通勤ラッシュ。
横浜。
人が密集する都市。
“どこか”という言葉の曖昧さが、かえって現実味を増している。
桐生は窓の外を見つめたまま、呟いた。
「……何がしたいんだ」
その問いに答える者はいなかった。




