表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/17

須藤孝則の困惑

客の姿が……。


† This is my life of the MINI-CROISSANT †


By TAKANORI



――チリンチリン。


扉につけられた鈴が鳴るのはお客さん来訪のお報せ。

裏を返せば、お客さんとの送別の合図でもある。

昨日と違い緑のエプロンを羽織った青年の後姿を、私達は温かい目で見送っていた。


「やっぱイカすわー。ミケを拾ったのは正解だったわね」


理沙さんは満足そうに一人頷く。

昨日に続いて、今日も理沙さんの機嫌は良いらしい。


「へぇ、そんなに彼が気に行ったのかい?」

「そりゃあそうよ。これでまたお客さんが増えるわね、きっと」

「しかし……あれで本当に大丈夫だろうか」

「ふふふ。大丈夫、私の目に狂いはないわ」


理由は明白。ミケ君が彼女の趣味に付き合わされているからだ。

まぁ、本人も別に嫌がっているわけではなく、寧ろ進んで協力しているようだが……。

兎に角、理沙さんの命により昨日と同じ格好になったミケ君は、今度は店の制服を着せられて、たった今街中へと放り出された。


「これから忙しくなるわよ~」

「ははは、それは楽しみだね」


私は今時の流行りは知らないので何ともいえないが……。

理沙さんが言うのならそうなのだろう。






「ねぇあなた、面白いことになってきたと思わない?」


ミケ君を送り出した後。

新しく焼けたパンを並べ終えて。

客足の途絶えた店内でまったりとくつろいでいた所だった。


「面白いこと?」

「なによ、気付かなかったの?」


唐突過ぎる。私には何のことだかわからない。


「……はて?」

「昨日のことよ。二人で帰って来たじゃない」

「……ああ」


言われて、そういえばと思い出す。

しかし、あれのどこが面白いのか……。


「美紀が怒ってたことかい?」

「あなたにはそう見えたの?」

「いや、見えるも何も、一方的に怒鳴ってたじゃないか」


昨日の話。

美紀とミケ君が帰ってきた時のことだ。


「美紀はまだ納得してないんだろうね」


傘を忘れたミケ君にも怒っていたが、そうじゃない。

ミケ君が家に居ることを、美紀はまだ反対しているのだろう。


「あら、そうかしら?」


笑みを浮かべながら、理沙さんがそう答えた。


「私はそうは思わないわよ?」


何故か自身満々だ。


「……それじゃあ、美紀はなんで怒ってたんだ?」

「あれはたぶん照れ隠しよ」

「……反抗期じゃなくて?」

「あの子、ミケに惚れちゃったんじゃないかしら」

「…………」


理沙さんはさらりと凄いことを言う。


「まさか、それはないだろう」

「そう? 私にはそんな気がするんだけど」


美紀がミケ君に……?

いやいや、そんなはずはない……とも、言い切れない……か?


確かにミケ君は女性受けが良い。

それは店内の様子を見ていればわかる。

ということは、美紀にも同じことが言えるかもしれない……。


「……なんだか私もそんな気がしてきたよ」

「でしょ、面白くなってきたと思わない?」


カラカラ笑う理沙さんを見て思い出す。


そういえば……。


私も出会った当初は、理沙さんによく怒鳴られていた気がする。

それを言えば彼女は否定するだろうが……まさか、そういうことなのかっ!?



『いやいや、真意はまだわかりません』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ