須藤颯太の驚愕
颯太の髪は黒ですよ
† This is my diaries of the MINI-CROISSANT †
By SOUTA
「今日はどうだった?」
「お母さんに起こされたー!」
今日も兄ちゃんに同じことを聞かれて、僕はいつも通りの返事を返した。
「ダメだろ、ちゃん自分で起きれるようになれよ」
「え~だって~」
僕が起きる前にお母さんが起こすんだもん。
その気になれば僕は自分で起きられると思うんだ。
「だってじゃないだろ。おまえいくつだっけ?」
「9才! 来年で10才になるよ!」
「俺が9歳の頃なんかおまえ、家族の誰よりも早く起きてたぞ」
「すっげー! それじゃあ今日も早かったの?」
兄ちゃんはホントにすごい。
頭も良いし、ケンカも強いし、それで誰よりも早く起きられるなんて凄すぎる。
僕なんかテストは100点取れないし、この前何もないところで転んだし、いつもお母さんに起こしてもらうのに。
だから兄ちゃんは僕の憧れで、目標だ。
いつか兄ちゃんみたいなすごい大人になりたいと思う。
「ああ、今日も朝から蹴り入れられてマジで大変……」
「蹴り?」
「そういえば颯太はサッカー好きか?」
「好き!」
「俺は嫌いだ」
「そうなの!?」
「球技がどうもダメでな」
兄ちゃんにも苦手なものがあるらしい。驚きだ。
「あれは……そう、ちょうどおまえと同じくらいの年だったか――――」
――タンタンタン。
「あっ、お姉ちゃんだ」
「おいおい、これからって時に……」
お姉ちゃんが階段から下りて来て顔を出す。
「お姉ちゃんおはよー!」
「美紀おはよー」
これもいつも通りだった。
けれどもお姉ちゃんはこっちを見て、足を止める。
あれ? いつもならそのままお店を出ちゃうのに。
「おはよ颯太。相変わらずあんたはテンション高いわね」
「テンションって何?」
テンションとは元気という意味らしい。(注:誤解)
「テンションテンション!」
僕は今日も元気だよ! と言いたかった。
「それじゃ、私は行くからね」
「うん、バイバーイ」
「……まさかの痴呆とは。可哀想に」
「聞こえてるわよっ」
最後にお姉ちゃんが兄ちゃんに怒って出ていった。
「お姉ちゃん怒ってたね」
「んなことよりも、さっきの話し続きをしよう――――」
お姉ちゃんが兄ちゃんに話かけるのを、僕はその時初めて見た。
『最近お姉ちゃんは良く怒ってるけど、いつもは優しいんだよ』




