初めましての真実の愛
「俺は真実の愛を見つけてしまったのだ。だからアリシア、お前との婚約を破棄する!」
学校のパーティー会場で、ルクト第一王子が私に向かって宣言した。
だから私は反射的に、近くにいた男子の手を握ってこう言ってしまった。
「かまいませんわ。私も今真実の愛を見つけたところでしたので!」
「本当に申し訳ございませんでした!」
翌日、私は校舎裏で巻き込んでしまった男性に頭を下げていた。
「頭をお上げください!公爵家の方に頭を下げられるなんて、男爵家の僕の小さい心臓が潰れてしまいます!!」
頭を上げろ……これは私、試されているわね。
礼を欠いた際、もし相手から謝罪を止めるように言われても絶対に止めてはいけない。それは貴族社会において暗黙のルール。もし私が頭を上げたら、この男性は私の首をはねるかもしれないわ。
ここはさらに深く頭を下げるのが正解ね。
「なぜより深々とお辞儀をしているんですか!?怒ってなどいませんから!早く頭を上げてください!!」
なるほど。この程度のお辞儀では足りない。もっと深々としたお辞儀、つまり土下座をしろと言うことね。
くっ、なんて屈辱的な要求なの!?でも、私は負けないわ!いいわ、わかったわ。土下座でも何でもしてやるわよ!
「ちょ!?本当に何してるんですか!?」
私は地面に膝をつき手を頭の近くに持って行った後、ゆっくりと地面に頭を近づける。
そんなに見たいなら見せてあげるわ!食らいなさい!これが我がラストン公爵家奥義よ!
ガシッ
……あれ、地面に頭が付かないわ!あ、この人私の両肩を手でつかんで持ち上げようとしてるわ!なんて奴なの!?
……でも負けるわけにはいかない!なんとしてでも頭を地面にこすりつけるのよ!!
「だからっ!止めてくださいっ!アリシア様!」
「負けるもんですか!!」
「僕の声、聞こえてます!?」
「うおおおおおお!!!!」
「誰か!誰か助けて!!」
~五分後~
「はぁ、はぁ、あなたっ、やるじゃない」
「はぁ、はぁ、そちらこそっ、根性ありますね。……ってそうじゃな~い!!」
「……いきなり大きな声を出さないでよ。ビックリするじゃない」
「えぇ……ここから僕が悪い流れになることあるんだ……」
私は膝についた土を払いながら立ち上がる。
結局土下座は阻止されてしまった。ルクト第一王子は何かあるごとに土下座を要求してきたのに……不思議な人だわ。
「さて、本題に入りますわよ」
「……二重人格だったりします?」
「昨晩私が巻き込んでしまった件についてなのですけど、私はイチャラブカップル路線を目指した方がいいと思うのですけど、どうですか?」
「……へ?」
この反応、もしかしてツンデレ路線の方が良かったのかしら。でもツンデレ路線はなかなか大変なのよね……
「……その、僕たちはお付き合いする前提なのでしょうか」
「え?当たり前じゃない。真実の愛を誓っておいて、ハイ別れました、じゃ筋が通らないでしょう?どうやらあなたは婚約者もいないようだし……はっ、もしかして謝罪が足りなかったって言うの!?土下座じゃなくて土下寝、いや生き埋めがいいっていうの!?」
「すみません。僕が悪かったです。ぜひお付き合いしましょう」
なんだか棒読みね。それ、心の底から思っているのかしら。やっぱり土下座をした方が……
「なんか物騒なこと考えてませんか……というか、僕に婚約者がいないってどうして分かったんですか?」
「あまり公爵家の諜報能力を侮らない事ですわね。一晩もあればあなたの家族構成から、あなたが動物に話しかけるとき赤ちゃん言葉になることまで全て分かっちゃうんですから!」
「な、なんて恐ろしい諜報能力なんだ!!もしかして僕が母の事を家ではママって呼んでることも……?」
「それは初耳だわ」
「くっ、やるな……」
……何が?
もしかしてこの人、馬鹿なのかしら……
「それで結局イチャラブカップル路線でいいのかしら?」
「……もうここまで来たら、イチャラブでも池ポチャでもなんでもいいよ!」
「イチャラブと池ポチャは全然違うと思うのだけれど……」
「ぼけたんだよ!!」
この人、笑いのセンスもないのかしら……
というか敬語も外れてますわね。まあ私は別にいいのだけれど、他の公爵令嬢なんかにタメ口きいた日には打ち首よ?常識すらないのね。
……でもなんだか王子と一緒にいる時より楽しいわね!
「まあいいわ。じゃあまず今日の予定を発表いたしますわ!」
「もう予定が決めてあるんだ……」
「今日の予定は、イチャラブデートです!!」
一回デートってしてみたかったのよね!王子は予定があわないの一点張りで、結局一度もしたことないもの!
やっぱりまずはワニの住む密林で冒険かしら。それとも、砂漠の真ん中から勘を頼りにオアシスを探すとかかしら!
「イチャラブデートね……まあ頑張ってみるよ。ああ、そうだ。まあ必要ないかもしれないが、改めて。僕の名前はシルバ・ロンダールだ。よろしく」
「私はアリシア・ラストンです。よろしくお願いしますわ!」
ああ、イチャラブデート楽しみだわ!!
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