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「・・・なんていいました?」
なぜ?敬語
「だから、私の遺体を探して欲しいの?」
「・・・だれが?」
「あなたが」
(だよね・・・)
少女が澄んだ目で真っすぐ私を見つめる姿は真剣そのもの。
だからこそ困っている。この依頼に。
「君の遺体を探すの・・・?」
「そう、みゆきでいいよ。深谷みゆきっていうの。」
(みゆきさん、いや、みゆきちゃん・・・)
「深谷さんの遺体はどこかで眠っているってこと?」
「だから、みゆきでいいてっば!
そう、だからなのかは分かんないけど、私この姿なの」
「どこに眠ってんの?」
「さぁ」
「『さぁ』って!!」
思わず声が大きくなる。
「まってまって。どこには本当に分からないの。
ただ、この辺というのはなんとなく分かる。」
「どこ?」
「私が今日立ってた場所わかる?あの辺。」
(あそこかぁ)確かに都会の割には両脇が林道になっており、
誰か埋められてたとしても納得できる。
「私気づいたらあの辺をウロウロしてて。多分あの辺なんだと思う。」
あの林道は奥がどうなっているのか、当然足を踏み入れたこともなく、
やっかいなお願いされているなぁと改めて感じた。
「ちょっと聞いていい?いや、相当聞きにくいんだけど・・・」
「何?」
「なんであそこで眠ってるの?いや、みゆきはなんで亡くなったの?」
「・・・そんなん聞く?ウワーーン!!!」
みゆきは両手で顔を覆い派手に泣き出した。
「うそうそうそ。ごめん、いいや。」
慌てて質問を撤回した。
「うっそーー。」
と、顔をこちらに向けると、いたずらっ子のように笑顔になった。
(泣きまねかい・・・)
「いや、そうくるなら丁重に断らさせて頂きます。」
「まってまって。冗談だから!」
「いや、丁重にお断りさせて頂きます。」
「だから、まってって。
正直にいいます。はい。」
「お願いします。」
「ま、正直生きてた頃の記憶自体が曖昧になってて・・・
でも、間違いないのは
『私、殺されたの』 」