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18/25

18:あれとそれとこれと

 お母さんの名前はナナさん。

 スープを飲んだら落ち着いたのか、また眠った。

 それは子供たちも同じで、下の二人は母親に寄り添って安心して眠った。


 子供たちが眠ってから、俺は一階へ。

 マットは二つしか用意していないし、二階の副隊長部屋で全員が寝泊るするには狭い。

 とはいえ、一階の大部屋はストーブが錆びていて穴も開いてるし、使えるのは三階の隊長部屋だ。

 大部屋のマットで比較的綺麗な物を引っ張り出して、壁に立てかけておく。

 

 猫人族は小柄だし、マットを横向きにして使えば二人寝ても十分な広さがある。

 ってことは、マット三つは欲しいってことだ。

 三階の隊長部屋のマットはセミダブルぐらいあるし、あれも使おう。


 食事も今使っている机じゃ狭くなる。二階と三階に分かれれば平気だけど、別々の部屋で食事というのもなんか変だし。

 かといって食堂はストーブも壊れてて使えないから寒いしなぁ。

 いっそ厨房を片付けてそこで食事も出来るようにするとか?


 案外出来なくもない広さはある。

 食堂のテーブルは四人用が二つ並んだタイプだから、一つを移動させてカウンターにくっつければいい。

 あとは椅子を置けば、立派な食事用テーブルっぽくなるだろう。

 じゃあさっそく掃除をしますかね。


 セリスがある程度掃除はしてくれているけど、隅々まではやっていない。

 必要最小限のスペースだけだ。


 えぇっと……

 生活系魔法で便利なのがあったよな。


『空間掃除』

 指定した空間の埃を取り除く魔法だ。

 レベルによって指定できる空間の広さが変わって、確かレベル1だと五〇センチ四方だったような。

 たったそれだけだと、この広いリビングの掃除に何時間かかることやら。

 それに俺の魔力は低いし、何度も魔法を掛けていられない。


 となると、スキルレベルを上げてっと──獲得するのにポイントを5消費、そこから1レベル毎に5消費。

 とりあえず20にしてみると、1レベル毎に10センチ増えるようで、240センチになった。


「"空間掃除"」


 魔法を使うと俺の視界に青白いマス目のような物が浮かぶ。

 これで範囲を指定しろってことか。


 スマホの画面をタップするような感じで触れると、その範囲がふわぁーっと白い光で包まれた。


「お、綺麗になったな。よし、もう少しっと」


 あと意外なほど、魔力の消費量は少なかった。

 六回ほど魔法を使うと、ひとまず厨房は綺麗になった。


「最初からこの魔法で砦を掃除すればよかったな」


 さて、お次はテーブルと椅子のチェックだ。

 食堂に行き、音を立てないように……って難しいな。

 荷物運びのスキルを使うと、こう……音を立てないように効率よく物を運んだりとかもできるかな?

 まぁどうせリカバリーすればいいことだし、取るだけ取ってみるか。


 こっちは獲得も次のレベルに必要なポイントも1。

 レベル10でいいかと思ったけど、重い物を効率よく運ぶ──しか出ない。

 念のため鑑定スキル1だけ取ったけど、鑑定レベルを上げれば詳細が増えるかなぁ。

 けど鑑定はコストがかかるんだよ。


 ま、荷物運び20にしてみるか。


 すると鑑定画面が変わる。

 静かにそっと、素早く物を運べるようになる──という一文が追加された。


「ヨシッ」


 人が座ると壊れそうな椅子と、大丈夫な椅子を分けていく。

 まぁダメな方が多いよね、うん。

 

「添木でもすればいいんだけど、薪で丈夫そうなの探さなきゃな」


 まぁその辺りは明るくなってからだ。

 

 埃はなくなった。椅子やテーブルのチェックも済んだ。

 あとは……


 床に転がっているいろんな物を片付けなきゃな。

 空間清掃は、箒で掃く、雑巾がけをする──この二つを実行するだけだからなぁ。


 えぇっと、片付け関係のスキルは……『整理整頓』でいいのかな。

 パパっとやって俺も寝よう。


「スキルレベル30ぐらい上げてみるかな」


 スキルをセットすると、『ピコン』という音が頭の中で響いた。

 今度はなんだ?

 さっきロロたちがここで暮らすことが決まった時の音は、領民が増えたからだ。

 それは確認済みで、領民が増えたことで領主レベルも上がっている。


 でも今は領民が増えたタイミングじゃない。

 なんだ?


 そう思ってステータスボードをよく見ると、獲得可能スキル一覧にnewマークがついている物が。


「うへぇ……あったのかよ、このスキル」


 そこには確かに【アイテムボックス(new)】という文字があった。

 鑑定してみると、このスキル、前提条件があったようだ。

 それによると、空間系魔法、荷物運び、整理整頓の三つのスキルレベルが、20以上であること──とある。


 そ、掃除を楽にするために取ったスキルが、こんな結果になるとは。


 いや、でもこの三つのスキルを20で固定すると、スキルポイントどれだけ減ってしまうんだ?

 荷物運びと整理整頓は消費1ずつだから、合計40。空間清掃が1レベル毎に5消費なのでレベル20だと100。

 そして……アイテムボックスは獲得するのに消費ポイント50!?

 全部で190じゃん。


 テイミングスキルのように、リカバリーできないようにさせると、190も失ってしまう。


 うぅん……。

 いや、何も常時セットする必要もないか。

 食料調達や物資調達のために出かけて、荷物を運ぶときだけセットして、砦に戻って来たら荷物を出してリカバリーすればいい。

 残りポイント100ちょっとあれば、移動時に必要な戦闘スキルもセット出来る。


 うん!

 万能アイテムボックス、ゲットしたぜ!


 アイテムボックスって、どんなかな?

 ついでだし、ちょっとセットしてみよう。


 アイテムボックス、レベル1……ん?

 これってレベル5がマックスなのか。

 レベル2に上げるのにもポイント50必要なのか……これ、コストパフォーマンス的にどうなんだろう。


 まぁいいや。1だけセットっと。


 するとステータスボードに新しく『インベントリ』というタブが追加された。

 そこをタップすると、横6マス、縦5マスのウィンドウが開く。

 スクロールは可能。合計すると横6×縦10だ。六〇種類のアイテムを入れられるって訳だな。


 多いような少ないような。

 これは頻繁にアイテム整理必須だな。

 ま、どうせリカバリーの時には全部アイテムを出さなきゃいけないんだ。

 数時間の間に集められるアイテムの種類なんて、そう多くないだろう。


 あとは……。


「このスキルを使うと、流石にセリスも不審がるだろうなぁ。いっそスキルのことを話すべきか」


 ほんと、どうしよう。

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