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13:リカバリーの鑑定

「だいぶん食料も溜まって来たな」


 五日かけて森と砦を往復し、木の実や茸を集めまくった。もちろん食べられる物なら草も集めている。

 幸運なことに兎のモンスターを仕留めることに成功。今はそれを仕留めて塩漬けにしている。

 雪が積もって外に出られなくなった時のことを考えると、これではまだ足りない。


「また川で魚釣りでもしようか。食糧はまだ必要だし」

「そうね。どのくらい雪で閉ざされるか分からないし、食料は多い方がいいわよね」

『メェー。ンメェ』

「そうだ。ゴンの食糧はどうしよう」


 今は森まで行ってたっぷり草を食べさせられている。

 けど雪が積もれば、あの森まで行くのはかなり危険だろう。

 道が分からなくなるし、滑ったりしたら一巻の終わりだ。雪崩だって気を付けなきゃならないし。


「お前の食糧も、なんとか用意しなきゃなぁ」

「でも用意ってどうするの? 砦の中に土を運び込んで草でも育てる?」

「土かぁ……砦の周辺は石ばっかりだもんなぁ」


 その石の下には当然土があるだろうけど、石をどけるのに手間取りそうだ。


『ンン、ンメェ』

「今度はどうした、ゴン」

『ンメェ』


 ゴンが鼻先で俺を押して、塔のほうへと連れて行こうとしている。

 こちらが歩きだせば、ゴンは前に出て「こっちだ」と案内を始めた。

 向かったのは上へと上る階段──の後ろ。

 

「階段の後ろに窓? なんでこんな所に──うわっ!?」

「ディオン!?」


 窓の雨戸を開けようと近づくと、突然床が無くなっていて足を踏み外した。

 なんとか階段を掴んで落下は免れたけど……なんだ?


「セリス、気を付けて。床がないから」

「え? 床がないって、抜け落ちているとか? ちょっと待って、窓を開けるから」


 セリスは壁沿いに足元を確認しながら歩き、それから窓と雨戸を開けた。

 光が差し込むと、いったい何に足を踏み外したのかが分かった。


「階段?」

「今まで暗かったし、まかさ下り階段がこんな所にあると思わなかったから見つけられなかったのね」


 階段の後ろにもうひとつ階段が。ただしこっちは下に降りるための階段だ。

 窓から差し込む光が下にも届いているから、その様子も若干見える。


「苔? いや、雑草……かな」

「もしかしてここ、畑だったんじゃない?」

「え、いやそれなら狭すぎるんじゃないか? それに太陽だって……」


 光が届かないと言おうとしたけど、実際届いてるもんな。

 外ではないけど、光が届くなら光合成だって出来るだろうし。


『ンペェー』


 ゴンは嬉しそうに階段を下りて行く。それから生えている草の匂いを嗅ぎ、むしゃむしゃと食べ始めた。


「ゴンは食べられるようだ」

「下りてみない? どうなってるのか見ておきたいわ」

「そうだね」


 燭台を持って来て中に下りてみると、天井まで一五〇センチもなくて屈まなきゃならない高さだった。

 四、五メートル四方程度の狭い部屋──と思ったら正面の壁に穴があって、奥に続いているようだ。

 正面の部屋も同じ広さで、地面には草が生い茂っている。

 

 壁石は光を取り入れるための隙間がいくつもあって、蝋燭の火がなくても十分な明るさがあった。

 

「やっぱり畑だったんじゃない? この砦って、十人もいなかったみたいだし。それならこのぐらいでも十分だったんじゃないかしら」

「そう、かもしれないね。必要最小限のものを育ててたってところなのかな」


 周りは石だらけだし気温も低いから、畑を作るには厳しい環境だ。

 でも建物の下なら一度石を取り除いてしまえば、雨風はしのげるし雪も入り込まない。


「イモ菜とサイサイを根っこごと掘り起こしてここに植えよう! 上手く育ってくれれば、探しに行く手間も省ける」

「そうね。栽培の方はきっと大丈夫。土の精霊は召喚出来るもの」


 精霊に頼めば成長速度も速くなり、収穫量も増えるんだとセリスは言う。

 俺とセリスの二人なら、一部屋分の畑で十分だ。

 手前を草部屋、奥を畑にしよう。


「ゴン。奥の部屋は畑にしたいんだ。あっちの部屋の草を先に食べて貰っていいか?」

『ンメェー』

「でも一日で食べ尽くしたら勿体ないし、ゴンだってお腹いっぱいで苦しくなるわよね。育てるのはイモ菜とサイサイだけなら、畑の畝一本分あればいいと思うけど」

「まぁその通りか。じゃあゴン。壁際から順に食べて貰える?」

『メッ』


 ゴンが食べてくれた所から耕して行こう。






 毎晩ステータスボードを確認して寝ることにしている。

 半地下を見つけたその日、領民好感度と幸福度がアップしていた。



【領民好感度】

 +50→60(new)


【領民幸福度】

 +5→10(new)



 食料の備蓄が少しずつ増えていることと、半地下で作物が育てられるというのが影響しているんだろうな。


 さて、今日の分のリセットをしなきゃ……ん?


 ステータスボードに書かれている内容が、俺が見ている目の前で変化した!?

 チャリンっと音が鳴って、好感度、幸福度の数字に追加枠が現れた。

 

【領民好感度】

 +60/+0(new)



 しかも領主ポイントまで増えている。



【領主ポイント】

 350→430(new)

[ポイント交換]


 

 増えたポイントは80か。


 うぅん……と、とりあえずリカバリーしよう。そろそろ昼過ぎにスキルをセットしてから八時間になる。これ以上経過するとリセット後に気を失ってしまうから危険だ。


 自分の状態をリカバリーして、もう一度ステータスボードを確認。


 ん?

 好感度、幸福度、それにポイントもリセットされてない。

 なんでだろう?


 そうだ。鑑定スキルでボード内容を調べたりとか出来ないかな?

 なるべくスキルレベルが高い方がいいだろう。

 

 鑑定のスキルレベルを50まで上げ、ステータスボードを見る。

 特に吹き出しは浮かんでこないな。

 ボードに触れてみると──出た。


【『ディオン・ルエンディタール』あなたの名前です】


 うん、まぁそれは分かるよ。

 調べたい項目に触れればいいのか。

 どれどれ──



--------------------------------------------------------------------

『領民好感度』あなたが領民からどれだけ好感を持たれているかの数値です。

 この数値がマイナスになると、領民は反乱を起こしやすくなります。

 この数値は一週間に一度、それまでの累計が領主ポイントとなります。

 表示は『累計/今週』。

--------------------------------------------------------------------



 ポイントが増えたのはこれか!

 幸福度に関しては、一週間に一度、数値の二倍が領主ポイントになると書いてあった。

 なるほど。幸福度は10しかなく、二倍にすると20。ここに好感度60を足せば80だ。

 増えた分の領主ポイントと計算も合う。


 なんでリカバリーでリセットされなかったのか。

 リカバリースキルの詳細は──



--------------------------------------------------------------------

『リカバリー』対象の状態をリセットするユニークスキル。

 破損、怪我、スキルポイントを消費して獲得したスキルもリセット可能。

 ただし経験で得たスキルやポイントはリセット出来ない。

 死者の蘇生も不可。

--------------------------------------------------------------------



 経験で得た……このあたりかな?

 俺の剣術も、修行を重ねて覚えたものだ。乗馬も然り。

 スキルを習得した直後にリカバリーを使っていなかったから気にもしなかったけど、要はスキルポイントを使わずに習得したモノや得たポイントはリセットされないってことか。

 

 それなら安心してリカバリーも使えるな。

 


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