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続きそうで続かない短編倉庫  作者: あかね


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69/70

カッパだって獣人枠でいけるじゃないっ!? という暴論の聖女

 われは世界を救うべく異世界に呼ばれたものである。

 人はわれのことを聖女と呼ぶ!


 その実態は、人外スキー(重度)である。

 どのくらいかと言うと……


「妖怪は異世界にいない」


「妖精はいます」


「豆腐小僧はいないのね……」


「一反もめんもいません。なお、子泣きじじいもおりません」


「くっ、異世界に来てこんなにつらいことはないわ」


「僕としては、そんな人外の幅が広すぎてめまいがします」


「宇宙にユニバースに広がる夢がきらりん」


「……なんでしょうね。お子様が泣きそうな女児アニメみたいななんか」


 以上が、つい先日、私をこの世界につれてきたやつと交わした言葉である。だいぶ、いや、かなり? の乱心だったという自覚はある。

 名前を出していけないバグなんちゃらとか、ほび……とか、そういうのはいるのに、そういや、妖怪いないなと気がついたからだ。

 レッドキャップはいた。可愛くない虐殺方面の。あーごめーんとつぶやきつつ数を減らしてきた。可哀想だけど、ほら、害悪は害悪。別なところで栽培してあげますからねぇと隔離は必要。

 聖女家業をツライぜ。でも趣味に走っても爆走しても許されるのはいいんだぜ。


 そして、今日も今日とて救うべく人外を求めていたりする。


「あのですね、カッパはいませんか」


「……かっぱ。あの、甲羅を背負って、お皿を乗っけた、尻子玉抜くやつ」


「あ、お詳しい。よかった。で、あれ、獣人カテゴリでいけません? ほら、魚っぽい。半魚人より人間っぽい感じで」


「呪われた漁村にいそうなのは、いますけど」


「うぉ、そ、それは、遠くから拝見してもよろしいんですかなっ」


「なぜ、遠く」


「滅してはいけないので。育てていかねば」


「……ほんと、おもしれーを通り越してやべー女ですね」


「やだなぁ、褒めても」


「褒めてませんし、わかっていっているのがムカつきます」


 おやおや。初期値から考えると大変人間らしい反応。無機質なのは無機質な対応もオツだけど、感情的なのもなかなか。


「なんか、ぞわってしました」


「うふふふ。

 じゃあ、ぺんぎん」


「ぺんぎん?」


「緑のペンギン、記憶喪失ならなおよし」


「…………へぇ」


「い、いや、愛でるだけ!愛玩!」


「へぇ……」


 氷点下を超えそうなくらいの寒さを記録した。いや、氷点下は下回るというべきなのか、いや、どうなんだ!


「流石にこの異世界でも食べ物に命は宿らないです」


「へい。あれはなんか別カテゴリでした。すみません」


「……まあ、水生生物でよければ、リザードマンなどが」


「ひゃっほーいっ!」


「アマゾネスな集落が男がいないと困っているそうです」


「お姉様たちの婚活! いかせていただきます! ……あれ?」


「なんです?」


「最近、お姉様とお知り合いになる件多くないですか?」


「両方行けるなら、今まで保留してた分を排出中です」


「そうなの? まあ、いいかな。婚活婚活。私もしちゃおっかな」


「次。来てからにしてください」


「はぁい」


「配偶者ほしいですか?」


「いや? 相棒がいるからいい。でも甘酸っぱいの楽しみたい」


 恋の駆け引きとか楽しみたいだけなのだ。そういうの無縁だったから。現代日本では残念ながら妖怪ともお会いできず婚活できなかった。


「…………ひとでなし」


「ひっどーい、人道的に評価されているこの聖女様を捕まえて人でなしとはっ!」


「弄んで捨てる宣言でしたよ」


「ふわっとしたやつふわっとした! 忠誠とか信仰とか重いの!」


「やりすぎるからですよ。

 まったく……。僕の」


「下僕?」


「僕の下僕は、ひどいやつです」


「泣きそう」


「ほら、もしかしたら現地でそういうイキモノいるかも知れませんよ」


 現地で鱗もない尾もないと泣く、極めてカッパに近いリザードマン個体に出くわしてしまうのである。

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― 新着の感想 ―
>呪われた漁村 そんなところにいる半魚人っぽいのって、もしかして○○顔とかいわれる類いのヤツでは?
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