彼女の物語。
声が聞こえるの。
貴方が悪いって。どうしてって。
私は私を守りたかったの。大事なものを守ることのどこがわるいの。
誰かが泣くの? 誰かが悲しむの?
そんなのどうでも良いじゃない。だって。誰も、わたしのそれには注意を払わないもの。
あの子がそんなにいいのね。
「そんな世界なんて、消えてしまえばいいのに」
私だって好きでここにいたわけではないわ。気がついたら、いたのよ。思い出だけを抱えて、彼女は消えてしまったの。
私を置いて。
最初は楽しかったのに。
いつからか、全てがうまくいかなくなったの。
火にかけろ。
首を落とせ。
ああ、どうして、こうなってしまったのかしら?
四肢を引き裂け。
魔物に喰わせろ。
無力であれば良かったの?
余計なことまでしてくれた。
笑っていれば良いものを。
誰も、もう、いらない。
「こんな世界なんていらない」
遠く笑う女の声が聞こえた。
「あらあら。面白いモノみっけ」
貴方の望みをかなえてあげよう。
悪役令嬢が成立する世界というのは中々にハードモードだと思います。善良ではない、神々が跳梁跋扈してればなおさら。




