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続きそうで続かない短編倉庫  作者: あかね


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女神様はお怒りです。


 女神は現れ、かく語った。


「もう、殲滅してくれないかなぁ。異世界から召喚して何とかしようとする根性無しどもを」


 やさぐれたように。


「は?」


「勝手に呼ばれると世界の壁の補修がとんでもなく大変になるし、召喚元の世界には謝罪行脚。嫌味どころか損害賠償を求められて、扱いに困った魂を送り込んでくる始末」


 はぁとため息をついた女神の目は据わっている。大変美人なだけに恐い。

 俺は別に会社に行こうと家を出たときに拉致をされたようで、浮遊感と体が壊れそうな衝撃、そして、ここに放り出されるに至ったので、意味がわからない。


 いや、なんかわかりたくないけど。

 自称女神というより隔絶した何かなので逆らっちゃいけないセイブツな感じがひしひしとするねっ!


「そういうわけでね。異世界から召喚の途中でバラバラになりそうなところを助けてあげたのだから、私の駒になりなさい」


 恩を売られた。

 白い目で見ていたのがわかったのかちょっと慌てたように手をばたばたと振る。なんか妙に可愛い。小動物的に。


「ただでとは言わないわよ。死ぬまで良い目を見させてあげるわ。ただし、十年たてば死ぬことにする」


「その後は?」


「浄化して故郷に戻す予定。ああ、詫びはどこのお菓子が良いかしらね」


 遠い目をして女神は呟く。


「故郷なら地味銘菓のアレとか」


 あまりにもお疲れな雰囲気に俺は地元の銘菓をお勧めしてみる。この世界でも良いモノがあればご提案することはやぶさかでもない。


「そ、そんな素敵な選択があったのね。良いこと聞いた。お姉さんサービスしちゃうぞ」


 女神とか言うのはお姉さんとか言う年齢ではないと思ったけれど、言ったら即滅されると思ったので黙る。

 まあ、見た目はお姉さんだ。

 うん。

 麗しいお姉様。


「こほん。ということで、召喚を行った国の殲滅をして欲しいの。現地では好きにして良いわ。これは女神連合での合意の元に行われることで罪悪感なんて持たなくて結構よ」


 それはそれは良い笑顔で言い切ってくれやがりました。この女神様。

 どんだけ迷惑だと思っているのだろうか。

 俺、そこそこに小心者で地味に厨二病なそんな感じなんだけど。

 なに、チーレムでも作ればよいの? NAISEIとかすれば良いの?


「首をかしげなくてもいいわ。魅了と洗脳とあと能力値十倍ぐらいしとけばあとは勝手に滅びるでしょう」


 淡々とした口調ながら静かな怒りを感じる。だって、背後にごごごごっと炎が上がってるし。


「ついでに我らの加護をこれでもかとつけてあげるので、よろしく」


 ……女神様の期待が重いんですけどっ!?




 ……これが召喚と召喚の間の出来事だった。

 そして、光がまとわりつき消えたときにはどこかの広間だった。石造りでそう簡単には壊れそうにない。

 床には魔法陣とでもいうのだろうか文字と図案が彫り込まれている。まだ、薄く光を放つそれはもう一人送り込んで完全に消えた。


「ここは?」


 それは若い少年のような声だった。

 俺にも気がついて面食らっていたようだった。あっちも女神がちょっかい出したのだろうか。それならば伝達事項がありそうだが。


(ごっめーん、なんか、召喚に紛れ込ませて異世界から魂突っ込まれたみたい)


 あまりにも軽い声に眉間にしわが寄る。

 なんだそれは。


(ちょっと修復に手間取るからしばらく他の子をフォローにつけとくからよろしくね)


 一方的に電話を切られたみたいにぶつりと回線が切れた。

 よそに注意をそらしている間に広間にいた老人と若い男たちは揉めていた。


「勇者殿が二人も?」


「どちらが本物か?」


 残念ながら両方偽物だ。

 揉めながらもなにか水晶のようなものを出してきた。


「我らの祈りの声に応えていただきありがとうございます。勇者様」


「え? 何も聞いていないけど」


「いいえ、拒否する心があれば術は作動しませぬ。無意識に受け入れられたのでしょう」


 もっともらしく言っているが、いきなりのことに拒否どころではなく動揺した隙に連れてきたの間違いではないだろうか。


「……まあ、聞こえたかもしれない。可憐な声で助けて、と」


 と嘘を言ってみる。どうせいるんでしょう。美少女な王女とか剣士とか騎士とか魔法使いとか聖女とか。

 ケモミミでもよいのよ。

 奴隷ハーレムもいいじゃない。


「女神様のお声でしょうな。此度の災害にはお心を痛めていると神託が降りております」


 ちっ。

 あわよくばチーレムをと思ったんだけど。


「そんで、何をして欲しいの?」


 少年はわざわざと聞いている。


 老人が水晶をこちらに渡す。


「これで能力がわかるはずですじゃ」


 胡散臭さ満載なんだけど。

 女神様たちのご加護は通常隠してあると言われていたので、ばれる心配はない。この水晶もある女神が人々に分けたものだから、操作はお手の物。


「おおっ、すごい」


 語彙力。

 なんの疑問も持たずに能力を測定し始める少年。最近の子はこういうの慣れてるのかね。

 昔々の異世界転移なんて悲惨な目に会わない方がマレだった気がする。

 渋々俺もやるけど、平均値を叩き出して、加護は時の神と書いてあったそうだ。


 最初のあった女神様は、時空の女神でこの地では時の神となると言ってた気がする。地上に全く関連しないので、信仰心なにそれおいしいの?と言っていた。


 つまりは有名じゃない。

 どちらかと言えば俺の方が役に立たない方の召喚者である。


 結果、あっさりポイ捨てされた。


 路銀として渡さたいくつかの銀貨と荷造りしてある荷物。お供に平民の少年と。


「どうしたもんかね」


 怯える少年を引き連れ街に向かう。


 さて、これからが楽しみだ。

少年が少女なのがお約束です。ハーレムは状態であって、最終形ではない派。誰か一人選んで。

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